【1月13日 CNS】2025年最後の月、注目を集めていた医療保険と民間医療保険の「二つの薬剤リスト」が公表された。

とりわけ新たな国家医療保険薬剤リストでは、直近5年以内に上市された新薬111品目が追加され、そのうち50品目が「1類新薬」だった。追加数、比率ともに過去最高となった。背景にあるのは、公的医療保険財政(医保基金)が中国の革新的医薬品産業を支える重要な柱となりつつあることだ。単なる新薬ではなく、「本当に革新的な薬」に対して「実効性のある支援」を与えるという方向性が明確になってきた。

公的医療保険の購買力はどれほど大きいか。

公表データによると、中国の医薬品市場で最大の購入主体である公的医療保険財政は、「第14次五か年計画」期間中に累計約13兆元(約288兆8886億円)を支出し、年平均で約10%のペースで増加している。革新的医薬品の開発・普及を支える安定的な資金源となっている。

2025年10月末時点で、交渉により保険適用となった薬剤(協定期間内の対象薬剤)に対して公的医療保険が支払った累計額は4600億元(約10兆2222億円)を超え、関連する売上は6700億元(約14兆8888億円)以上に達した。

2025年末を振り返ると、技術・政策・資本の三つが組み合わさる「革新的医薬品の黄金の三角形」は、さらに強固になりつつある。

◾️技術面:源流でのブレークスルー

コンサルティング会社Citelineが発表した「2025年医薬品研究開発の年次レビュー」によると、開発パイプライン規模で世界上位25社に入る企業の中に、中国企業が複数含まれるようになった。トップ企業が国際市場で存在感を示すだけでなく、産業全体でも革新の動きが加速している。

現在、中国の医薬品産業の規模は世界第2位に達し、研究開発中の革新的医薬品の数は世界全体の約30%を占める。とりわけ各国が競う最重要分野である抗腫瘍薬では、中国企業はもはや追随者ではなく、複数の主要領域で先行する兆しを示し、世界のイノベーション地図の中で重要な位置を占めるようになっている。

◾️政策面:継続的な制度整備

近年は、薬事審査改革の深化と加速に加え、「革新的医薬品の発展を全チェーンで支援する実施方案」や「革新的医薬品の高品質な発展を支える若干の措置」など、重要政策が相次いで打ち出され、産業を支える多層的な政策体系が整いつつある。

2024年には、革新的医薬品の上市申請に対する審査期間の平均が225営業日に短縮され、優先審査対象は平均162営業日となった。審査・承認の効率向上は、研究開発成果の社会実装を直接押し上げている。

2025年に入ってから国内で承認された革新的医薬品は69品目に達し、再び過去最高を更新した。

◾️資本面:好循環の芽

革新的医薬品は、研究開発から臨床、商業化までに長期的で安定した資金の流れが必要だ。年末に公表された初の民間医療保険向け革新的医薬品リストは、公的医療保険だけではカバーしきれない薬剤ニーズを補う役割を担う。

公的医療保険という「基本の保障」と、民間保険という「上乗せ保障」が噛み合うことで、患者負担はさらに軽減され、革新性の高い医薬品が国内市場でより明確な収益モデルを描ける環境が整いつつある。国際市場でも、中国の革新的医薬品をめぐるライセンス契約は活発化している。

今年1~10月に中国の革新的医薬品が海外企業へライセンス供与した案件は100件を超え、契約総額は1000億ドル(約15兆5870億円)を突破した。すでに前年通年の水準を上回っている。中国の革新的医薬品に対する評価は取引金額だけでなく、海外市場へ進出する道筋が実際に加速していることにも表れている。

研究開発投資は「足し算」、審査・承認プロセスは「引き算」、市場空間は「掛け算」。この三つがかみ合い、革新的医薬品を支える「黄金の三角形」は好循環へ向かい始めている。

2015年の薬事審査改革を起点に見れば、この10年で中国の革新的医薬品は「模倣と追随」から「世界の競争と協調」へと戦略転換を遂げ、産業も「生産主導」から「研究開発主導」へと重心を移してきた。

今後を見据えると、中国が持つ産業面での強みもより鮮明になっている。整った産業チェーン、豊富な技術者層、基礎研究力の急速な向上、研究開発への継続的投資――こうした条件が、持続的なイノベーションを支える原動力となっている。

中国の革新的医薬品にとって、世界の舞台に上がることは出発点にすぎない。より重要なのは、世界のイノベーション構造の中で、主体的な立場を着実に強めていくことだ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News