【1月8日 CNS】「モノへの投資と人への投資を緊密に結び付けなければならない」「民生を最優先とし、国民のために実事を多く成し遂げる必要がある」。中央経済工作会議は2026年の経済運営方針を示す中で、「人」を重要な位置に据えた。

これは、「第15次五か年計画」策定に向けた提言で示された「民生の向上と消費促進を重視し、モノへの投資と人への投資を一体的に進める」という方針とも呼応するもので、今後、より多くの財政資金や公共資源が人に向けて投入されるとの政策シグナルを発している。

国家発展改革委員会投資研究所副所長の盛磊(Shen Lei)氏は「三里河中国経済観察」の取材に対し、会議が「モノへの投資と人への投資の緊密な結合」を強調したのは、人民中心の発展思想を体現するものだと指摘する。人びとのより良い生活への需要の高まりこそが、投資の根本的な論理であり、最大の潜在力だという。

モノへの投資の効果を見ると、中国の固定資産投資はすでに年間50兆元(約1106兆9950億円)規模に達している。北京大学(Peking University)経済学院教授で国民経済研究センター主任の蘇剣(Su Jian)氏は、「三里河中国経済観察」の取材に対し、中国は新たな発展段階に入り、モノへの投資による収益率は徐々に低下する傾向にあると指摘する。

一方で、「人への投資は極めて大きな潜在力を持つ戦略的方向だ」と蘇剣は述べる。人は創造力を持ち、イノベーションによって新たな成長機会を切り開くことができるため、人材への投資は長期的に高いリターンを生むという。

大国間競争の文脈でも、科学技術競争の本質は人材競争にある。物的資本と人的資本を同時に高めていくことは、もはや選択肢ではなく、戦略上の必然となっている。

中国は現在、産業高度化という大きな課題に直面しており、科学技術イノベーションが産業転換と高度化の原動力となっている。蘇剣氏は、産業の高度化は就業者の知的水準や技能により高い水準を求めるため、教育への投資を拡大し、創造力とイノベーション能力を高めることで、人材基盤を強化する必要があると指摘する。中央経済工作会議が「モノへの投資と人への投資を緊密に結び付ける」という考え方を「新たな認識と教訓」の一つに位置付けたのは、政策面で「人を軸とした経済」を重視し、単なる物的蓄積への依存から、人の成長を重ね合わせる段階へと転換する姿勢を示すものだ。

では、どのように人への投資を進めるのか。蘇剣氏は、第一に出生を後押しすることが重要だとする。人口の増加は消費を拡大するだけでなく、投資の原動力にもなる。第二に、人材資本の高度化、すなわち教育などを通じて労働者の知識や技能を高めることが欠かせないという。

このため会議では、「前向きな結婚・出産観を促し、新生児数の安定化に努める」「教育・科学技術・人材の発展を一体的に進める計画を策定する」「教育資源の配置を見直し、普通高校の定員拡大や優良大学の学部定員増を進める」といった方針が打ち出された。

人は消費の担い手であり、生産の主力であり、イノベーションの源泉でもある。人への投資は、国家の将来の中核的競争力に対する長期的な投資にほかならない。民生を重視し、人に投資することは、人材資本の価値向上や国民全体の素質向上につながるだけでなく、消費を喚起し、経済の内発的な成長力を引き出す重要な原動力となる。

会議では、都市・農村住民の所得増加計画の策定と実施、雇用の安定・拡大・質の向上を図る取り組みの推進、大学卒業生や出稼ぎ労働者など重点層の雇用安定、柔軟就業者や新たな雇用形態の労働者の社会保険加入支援などが示された。あわせて、医薬品の集中購入の最適化、医療保険の支払い制度改革の深化、リハビリ・介護サービスの拡充、長期介護保険制度の推進、困難な立場にある人びとへの支援強化も盛り込まれている。

会議で示された一つ一つの施策は、よりきめ細かな社会保障の網を編み上げるものだ。

蘇剣氏は、「今回の会議の方針は民生の関心に直結しており、社会の期待を安定させ、共同富裕の実現を進めると同時に、消費に対する不安を和らげることで、内需拡大と経済成長の安定に寄与する」と評価する。より長期的に見れば、14億人を対象とする中国の人的投資が生み出す発展の潜在力は、経済の高品質な成長を支える中核的なエンジンとなるだろう。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News