中国の新スタイル茶飲料のブームはなぜ続くのか
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【1月7日 People’s Daily】中国・広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)、1軒の新スタイルの茶飲料店の前で、小さな女の子が母親・陳娟(Chen Juan)さんの手をしっかり握り、つま先立ちで背伸びをしている。母親は注文を終えると、振り返り、記者に向かって「ドリンクに18.8元(約415円)追加すれば、フィギュアが入ったブラインドバッグがもらえるのよ。この子がもう半月も前からずっとねだっていて、今日はわざわざ『夢を叶えに』連れてきたのよ」と話しかけてきた。
「ディン」という音と共に飲み物が完成し、かわいいフィギュアを手に入れた女の子は、うれしそうに飛び跳ねた。母親の陳さんは笑いながら「若い子たちは新スタイルの茶飲料が大好きで、ブラインドボックスとか限定商品とか、売り方のバリエーションが本当に豊富なのよ」と話す。
中国チェーン経営協会の団体標準「新スタイルの茶飲料の用語と分類」では「新スタイル茶飲料とは、茶葉および(または)茶抽出液、果物、その場で搾った果実または野菜の搾り汁、純粋果汁、果汁、野菜ジュース、野菜、乳製品のうち1つまたは複数を原料とし、他の食品を添加する場合もしない場合も、個体(粉末)飲料は添加せず、店頭で調合されて作られる液体または個体と液体の混合物を指す」としている。
近年、中国の新スタイル茶飲料の消費市場の規模は拡大を続けている。「中国チェーン経営協会・新茶飲料委員会」と中国のフードデリバリー大手・美団(Meituan)が設立した「美団新餐飲研究院」が共同で発表した調査報告書によると、2025年の国内の新スタイル茶飲料の消費市場の規模は2000億元(約4兆4180億円)を突破する見込みだ。
「何か飲み物を注文してそれに1元(約22.1円)追加するだけでスタジアムカップに交換できて、それを使って自分でマイドリンクを作り、SNSにも投稿できる。客は単に飲料を受け取るだけでなく、作り手にもなり、SNSの発信者にもなれるのが、すごく面白い!」、湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)の健康茶チェーン店「書亦焼仙草」の店先に長い列を作る人たちの一人・彭成(Peng Cheng)さんは記者にそう語った。
今や、新スタイル茶飲料の楽しみ方は続々と現れ、ますます多くの消費者が、その味覚的満足を求めるだけでなく、参加感や双方向的なコンタクトも楽しむようになっている。
さらに、昨今の消費者の健康志向に対応するため、ミルクティー店の配合材料はますます多彩になっている。ケール、セロリ、ビーツ、パプリカなどの野菜、サジー、桑の実、ブルーベリーなどの果物、そして陳皮(柑橘類の皮)、クコの実などの漢方薬材が次々と茶飲料の仲間入りを果たし、消費者により多くの選択肢を提供している。
また「文化消費」が、現在の茶飲料消費の欠かせない一部となっている。上海発の穀物系健康茶ブランド「滬上阿姨(AUNTEA JENNY)」は春茶を発売すると同時に、世界の名画とコラボし、カップに油絵をプリントして、SNSのタイムラインを賑わせた。
消費者に愛される文化的要素を融合させるたゆまぬイノベーションが、新スタイル茶飲料を機能性飲料から文化伝播の生き生きとした媒体へと進化させている。
新スタイル茶飲料の熱気は、中国の新たな消費トレンドを映し出すと同時に、農産物消費を促進するカギも秘めている。
広州市の大型ショッピングモール・万菱匯にある茶飲料店「喜茶・茶坊(HEYTEA)」で、店員の余暁鍇(Yu XiaoKai)さんは、黄皮(中国原産のミカン科の果実)に浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の特産・径山抹茶とジャスミン茶を組み合わせ、独特の風味の一杯を作り出した。余さんはこの茶飲料について「今年の季節限定の『黄皮九窨茉王』という新商品で、店では一日で最高1200杯以上の売り上げとなった」と語った。
「喜茶・茶房」の購買責任者・孫亜威(Sun Yawei)さんは「我々は2021年に初めて黄皮を使った茶飲料を発売して大人気となり、黄皮に全く新しい消費分野を開拓した。25年の黄皮の価格は前年比60%上昇し、農家に確かな収入増をもたらした」と説明する。
広東省恩平市(Enping)牛江鎮蓮華村の黄皮栽培農家・趙丹(Zhao Dan)さんはこれを実感している。「販路に乏しく、以前は黄皮の栽培はあまり儲からなかった。ところがここ数年、茶飲料の会社が大量に買い付けてくれるようになり、うちの黄皮は収穫前から予約で買い取られ、一斤の価格は5元(約100円)から最高8元(約161円)まで上がり、1ムー(667平方メートル)あたり平均8000元(約16万720円)ほど収入が増えた」と話している。
黄皮以外にも、多くの果物、野菜、茶葉などの農産物が新スタイル茶飲料市場に参入して、その販売量と価格が共に上昇している。広東省汕頭市(Shantou)潮陽区金灶鎮は、新スタイル茶飲料企業と提携した後、地元の桑の実が大人気ドリンクの重要な原料となり、価格が急騰した。
昨年、四川省(Sichuan)発の茶飲料チェーン「茶百道(ChaPanda)」は直接買い付けおよび上流サプライチェーン企業を通じて、農産物原料25万トン余りを調達し、10万戸以上の農家に恩恵をもたらした。新スタイル茶飲料の消費が、地方の特産の農産物が「ブレイク」するのを後押しすると同時に、農産物の品質向上を力強く推進している。
重慶市(Chongqing)潼南区は世界三大レモン産地の一つで、アイスクリームと店頭創作飲料チェーン「蜜雪冰城(Mixue)」の子会社「雪王農業」が主導して25年「潼南区恵農栽培サービスセンター」を設立し、3万8000ムー(約2533ヘクタール)のレモン栽培をカバーしている。
センターの責任者・代竜(Dai Long)さんは「我々の研修と技術指導で、レモン栽培における農薬(化学品)の使用量を30%削減し、水使用量は90%減少し、病害虫防除率は95%にもなった」と紹介する。(c)People’s Daily /AFPBB News