【1月5日  People’s Daily】「紫禁四時・屏風(紫禁城の四季を描いた屏風)冷蔵庫マグネット」「蝶恋花(花に戯れるチョウの絵柄)化粧鏡」「和璽珍宝香膏(故宮にちなんだ図柄を描いた練り香料入れ)」「十二花神(民間伝承の12か月を司る12の花の神)しおり」など、故宮博物院(The Palace Museum)の一角にある「文創商品(文化クリエイティブ・コラボ商品)」のスペースには、さまざまなデザインの文創商品が所狭しと並べられ、観光客が絶え間なく訪れている。

故宮博物院文創事業部の鉄錚(Tie Zheng)副研究員が新発売の冷蔵庫マグネットを指さしながら、「この冷蔵庫マグネットは、故宮(紫禁城、Forbidden City)から撮影した中国宇宙ステーションの通過軌道を表現したもので、科学技術と人文の融合で、より豊かな意味を内包するデザインになっている」と説明した。

故宮の文創商品は近年、多くのファンを獲得している。鉄氏の話では、いくつかの商品は需要に追いつかず、頻繁に売り切れ状態になっているという。故宮の文創商品は現在、文房具、化粧品、食品など28のカテゴリーにおよび、その種類は3000以上に達する。

鉄氏は「文創商品のデザインでは、まずはじめに文物の文化的内包性を深く理解することが大切だ」と指摘する。文創商品チームが卯年(うさぎ年)の干支(えと)切手を開発した際には、故宮の玉器、青銅器、陶磁器などから23点のウサギをモチーフにした文物を厳選したという。それらの年代は西周から明・清時代にわたり、2000年以上におよぶ。

鉄氏は「これらの文物はすべて縁起の良い意味を持っている。例えば、青銅の『双兎車飾り』の『車軎』(古代の車軸の両端に据え付ける留め金)は、安定して遠くへ行くことを意味する。これらの干支切手は発売後、大変好評を博した」と説明する。

リンゴの皮で作った龍紋のスマホケース、落ち葉や枯れ枝を発酵分解・再加工したエコ素材の「松福(長寿と幸福の縁起物)」のブレスレット、ペットボトルが変身したテーマトートバッグなど、人びとの日常生活でなじみのある品物が故宮の文物と結びつき、環境に優しくてファッショナブルなグッズへと生まれ変わっている。

鉄氏によれば、「国潮(中国風のトレンド)」グッズは伝統文化の単なる復刻ではなく、創造的な転化が求められるという。鉄氏は「これらの商品は、古代の『天を敬い、物を惜しむ』という人びとの知恵と現代の環境保護の理念が結びついたものであり、北京の旧市街を南北に貫き伝統文化が残る『中軸線』エリアで生まれた独特の創造ストーリーを語るものだ」と語る。

「故宮ゼロ廃棄」プロジェクトが開始されてから2024年1月までに、6万本余りのペットボトルが「グリーン文創グッズ」に生まれ変わっており、これは二酸化炭素換算で1.72トンの排出削減に相当する。

「一般の人びとがもっと文物に親しめるようにするには、文物の新たな『紹介の方法』を絶えず探求していく必要がある。文創商品の開発のほか、様々な創造的な文化イベントも文化創造の派生形態の一つだ」、鉄氏はこう考えている。

ある展覧会プロジェクトの準備をしていた時、観客から「私たちが文物にもっと近づけるように、近くで見られるようにしてくれないか」と提案されたという。

チームは何度も議論を重ね、最終的に故宮が所蔵する186万点の文物から100点余りを厳選した。カメラやレーザースキャナーなどの機器を使い、それらの文物を一つひとつ撮影しスキャンして3Dデータを取得し、ソフトウェアを用いてモデリングとレンダリングを行った。

例えば、戦国時代の「宴楽漁猟攻戦紋図壺」(当時の宴会、狩猟漁労、攻城戦などの様子を精密に刻み込んだ青銅の壺)の場合、観客が画面に触れると、桑の葉摘み、射礼(弓競技)、宴会、水陸攻城戦などのシーンが動き出すようになっている。「観客は文物に近寄るだけでなく、文物を「まるで手のひらに載せたように」鑑賞できるようにした。

鉄氏は「革新的な方法で、人びとに故宮の多様な文化を感じさせ、文創商品の由来を理解させることはできないだろうか」と考えた。

そして鉄氏と同僚は、検討と努力を重ねた結果、2018年に北京テレビ局と共同制作の文化バラエティ番組『上新了・故宮』第1シーズンの第1話が放送された。

番組は「乾隆帝の秘密の庭園」をテーマにしたもので、映画スターを故宮文創グッズの開発員として招き、故宮の寧寿宮庭園の最北端の著名な建築物「倦勤齋」で故宮文化を間近に体験してもらった。それからデザイナーとの協力で「藤に雀」「竹形文様」など江南庭園の要素を取り入れた文創商品を発表した。鉄氏は「文化バラエティ番組を通じて、優れた伝統文化の解釈と普及を推進し、一般大衆、特に若者と文化遺産との距離を縮めることができた」と話している。

故宮でアフタヌーンティーを楽しみ、角楼カフェでコーヒーを飲み、宮廷の氷室を改造した「氷窖」レストランで北京風ジャージャー麺を食べるなど、「文」と「創」をしっかりと組み合わせ、より多くの観客が故宮に足を運び、さまざまな場面で中華文化の大きさと深遠さを体感する、鉄氏はこう期待している。(c)People’s Daily /AFPBB News