英国で女性蔑視が深刻化、8人に1人がDV・性的暴行・ストーカー被害 政府が対策
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【12月19日 AFP】英国は今後10年間で女性と少女に対する暴力を半減させることを目指す新たな戦略の下、教室におけるミソジニー(女性蔑視、女性嫌悪)に対処するための研修を教師に受けさせる予定だ。ジェス・フィリップス保護担当相が18日、議会で明らかにした。
新たな戦略では「国家の総力を挙げて」、女性と少女に対する暴力を取り締まるための統合的なアプローチを導入するという。
最新の統計によると、英国では若い男性の40%以上がいわゆる「マノスフィア(反フェミニズム的な男性が男尊女卑的で女性を性具扱いするような思想・言説を好き放題に表明し合えるウェブサイト、ブログなどの総称)」のインフルエンサー、アンドリュー・テート氏に対して好意的な印象を持っている。
フィリップス氏によると、英国では昨年、女性の8人に1人がドメスティックバイオレンス(DV)、性的暴行、ストーカー行為の被害に遭っている。
「わが国ではあまりにも長い間、女性と少女に対する暴力が避けられない人生の現実として扱われてきた」とフィリップス氏は述べた。
■「過激化」への対処
この戦略の下、イングランドのすべてのセカンダリースクール(日本の中学・高校に相当する11~16歳を対象とした中等教育機関)は、生徒に健全な人間関係について教えることが義務付けられる。
教師は、性的な画像を共有することの危険性や性的同意といった問題について生徒に話すための専門の研修を受ける。
最も懸念すべき兆候には早期に対処し、学校はリスクの高い生徒にミソジニー対策に特化した支援を受けさせることができるようになる。
フィリップス氏は、教室でのミソジニー対策は、女性と少女に対する暴力を未然に防ぐことにつながると述べている。
さらに、「若者の心を毒する可能性のあるコンテンツのまん延」はかつてないほど深刻化しているとも指摘。
「われわれの戦略は、過激化に対処し、虐待や暴力に発展する前に問題行動に対処するものだ」「教師が有害な態度をたしなめ、エスカレートする前に行動できるよう、権限を与えなければならない」と述べた。
自身の行動に不安を覚える生徒を対象とした、新たなヘルプラインも開設される。
■「ヌード化」ツールの禁止
政府はまた、写真に写った人物の衣服を除去し、ヌード画像を作成できる「ヌード化」ツールも禁止する。
フィリップス氏によると、政府はIT企業と協力し、「ヌード検出フィルター」を通して子どもたちがヌード画像を作成、閲覧、共有できないようにするという。
キア・スターマー首相は、この戦略は「少年と若い男性に対する教育と対話を促進すること」だと述べた。
スターマー氏はX(旧ツイッター)で、「娘には、学校、オンライン、そして人間関係において安全だと感じられる英国で育ってほしい」と語った。
「すべての少女がそうあるべきであり、すべての少年を有害なミソジニーの影響から守らなければならない」「わが政権は教師を支援することで、それを実現させる」と付け加えた。(c)AFP