【12月18日 AFP】2022年に浙江省杭州市で開催された第19回アジア競技大会で金メダルを獲得した中国の女性選手が、上司に報奨金を渡すのを拒否したことで、「報復」としてパワハラを受けたと主張している。中国当局は今週、女性選手の主張について調査を進めていると発表した。

第19回アジア競技大会は本来2022年に開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて1年延期され、2023年に実施された。

同大会のドラゴンボートで金メダルを3個獲得した王莉選手(23)はオンラインに投稿した動画で、雲南省松茂体育訓練基地の責任者、范某文主任による「報復」を非難した。

王選手によると、アジア大会で金メダルを3個獲得して体育訓練基地に戻ると、范主任に国から支給された報奨金15万元(現在のレートで約330万円)を渡すよう要求された。拒否すると、トレーニングを禁止され、勝手に引退届を提出され、公の場で辱めを受けたという。

雲南省体育局は15日、通信アプリ「微信(ウィーチャット)」の声明で、王選手の主張については把握しており、「包括的な調査」を行うためのチームを設置したと発表。

「調査結果に基づき、省体育局は規則、規律、法律に従ってこの問題に対処する」と付け加えた。

王選手は中国の人気SNS「小紅書」に投稿された動画で、「范主任は私たちによくこう言っていた。『お前らは感謝しなければならない。俺がお前らに仕事をくれてやっている。俺がお前らの給料を払ってやっている。お前らの引退も俺が決める』」と述べた。范主任は「お前らにすべてを与えることもできるし、すべてを奪うこともできる」とも言っていたという。

范主任は上司に対し、王選手はけがで練習できないとうそをつき、大会に出場するチャンスを「完全につぶした」とされる。

王選手は、范主任による虐待と長期にわたる「抑圧」によって、重度のうつ病になったと主張。

「メダル獲得のためにあんなに努力しなければ、私の人生はこんなにつらくなかったのではないかと思った」と付け加えた。(c)AFP