【三里河中国経済観察】地域の特性を生かし、発展の新たな道を切り拓く
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【12月19日 CNS】現在、世界は「百年に一度」とも言われる大きな転換期にあり、その変化は一段と加速している。発展は中国が直面するあらゆる課題を解決するための土台であり続けてきたが、いま求められているのは、規模やスピードを競う成長ではない。産業構造を高度化し、効率を高めることで質を引き上げる発展へと軸足が移っている。
中国共産党中央政治局は12月8日に会議を開き、2026年の経済運営について協議した。会議では、実績偏重に陥らない「正しい政績観」を確立・実践すること、そして地域の実情を踏まえた経済運営を行い、高品質で持続可能な発展を実現することが強調された。
中央経済工作会議を前に、この政治局会議が改めて「因地制宜」、すなわち地域の特性を踏まえた経済運営を打ち出したことは、重要な意味を持つ。
中国は国土が広く、地域間の違いも大きい。長江デルタ地域(上海市、江蘇省<Jiangsu>、浙江省<Zhejiang>)のイノベーション集積地、粤港澳大湾区の国際金融・商業拠点、東北の旧工業地帯、西南部の生態保全地域など、それぞれが異なる資源条件、産業基盤、立地環境を抱えている。
中山大学(Sun Yat-sen University)国家発展研究院の院長で、国務院発展研究センター産業経済部の元部長でもある趙昌文(Zhao Changwen)氏は、高品質な発展という理念自体は広く共有されているものの、地方の現場では依然としてGDP成長率や固定資産投資、財政収入といった量的指標が評価の中心に据えられていると指摘する。その結果、地方政府が短期間で成果が見えやすい事業を優先したり、他地域の成功例を十分な検証なしに模倣したりする傾向が生まれ、地域固有の資源条件や産業基盤、市場規模といった現実的な制約が後回しにされがちだという。
また一部では、高品質な発展を戦略的新興産業の育成と同一視し、伝統産業を一律に「時代遅れ」と見なして縮小・撤退させようとする極端な考え方も見られる。さらに、土地収入や税収増といった短期的な利益が意思決定を左右し、本来の地域の長期的な強みと必ずしも合致しない分野に資源が集中するケースも少なくない。
趙氏は、こうした評価指標や政策誘導のあり方が、地域発展の画一化や低水準での重複投資を招く大きな要因になっていると分析する。
経済成長を支えてきた内在的な論理は、すでに大きく変わりつつある。高品質な発展を実現するには、従来の成長モデルへの依存から脱却することが不可欠であり、持続可能な発展のためには、短期的な成果を優先する姿勢を抑制する必要がある。
では、「地域の特性に応じた経済運営」をどのように現実の政策として定着させていくべきなのか。華東師範大学(East China Normal University)で地域経済学を研究し、都市発展研究院の院長を務める曾剛氏は、横並びの発展パターンから抜け出すためには、評価やインセンティブの仕組みそのものを見直し、「正しい取り組みが正当に評価される制度」を整えることが鍵だと指摘する。
これは単なる意識改革ではなく、新たな発展理念を組織運営や幹部の行動様式に深く組み込む制度設計の問題だという。
具体的には、短期的な成果だけを見る評価から脱し、5年から10年に及ぶ中長期的な影響を重視する評価体系を導入することが求められる。地域の特性に応じて基準を柔軟に設定し、重要プロジェクトについては企画から運用までの全過程を通じて成果を検証する仕組みを整える必要がある。
同時に、地方政府の科学的な意思決定能力を高めることも欠かせない。地域の資源や産業動向を十分に分析できず、将来を見据えた体系的な計画が立てられていない例もある。専門家チームやデータ基盤を活用した支援体制を整え、より客観的で戦略的な判断を可能にすることが重要となる。
さらに、「誰のための政績なのか」を明確にし、国民を中心に据えた発展観を徹底する必要がある。住民の満足度や事業の持続性を重視し、技術革新や環境保全といった要素の比重を高めることで、新たな発展理念を幹部評価に反映させることが求められる。
総じて見れば、中国経済はすでに新たな段階に入っている。地域の特性を生かした経済運営を通じて、高品質で持続可能な発展を実現するという方針は、目先の課題への対応策であると同時に、中国式現代化を進めるための長期的な戦略でもある。
中国経済の強い回復力と大きな潜在力は、東西南北に広がる多様で活力に満ちた地域の積み重ねの中にこそ存在している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News