ウイグル施設撮影の中国人男性、米国から強制送還の危機
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【12月16日 AFP】新疆ウイグル自治区での人権侵害が疑われる場所を撮影し、その後に中国を離れた男性が現在、米国からの強制送還の危機に直面している。代理人と男性の母親がAFPに語った。
送還の恐れがあるのは、8月に米国移民・税関執行局(ICE)に拘束されたグアン・ヘンさん(38)。母親によると、ニューヨークで15日に移民手続きに関する審理を受けたという。
母親は「中国に送還されてしまうと、非常に悪いことが起こるのではと本当に心配している」「米国に留まるチャンスがあれば、息子は少なくとも安全。非常に不安で動揺している」と中国語でAFPに語った。
代理人によると、グアンさんは不法入国で身柄を拘束され、現在は亡命を求めているという。
1月に決まった次回の審理では、米国からの送還者受け入れに同意しているウガンダに送られるかどうかが判断される予定だ。代理人は、ウガンダから中国に送られる可能性が非常に高いとして、この動きを阻止したい構えだ。
米議会超党派の「トム・ラントス人権委員会」は13日にX(旧ツイッター)で声明を発表し、グアンさんが中国に戻れば「迫害される可能性が高い」とし、「米国に留まる機会が与えられるべきだ」と主張した。
■中国に戻るつもりはない
2021年末、グアンさんは中国の新疆ウイグル自治区を巡る旅行を詳細に記録した20分の動画をオンラインで公開した。
彼は、米メディア「バズフィード」の調査でウイグル人や他のイスラム教徒ら少数派の収容施設として特定された場所、またはその可能性がある場所を訪れていた。
中国政府は2017年以降、100万人以上のウイグル人や他のイスラム教徒を収容していると非難されており、国連(UN)はこうした政策が「人道に対する罪」に該当する可能性があると指摘している。
中国はこれらの主張を強く否定。これらの政策により、新疆の過激主義を根絶し、経済発展を促進したと主張している。
動画を撮影した後に中国を離れたグアンさんは、南米を経て最終的に米国に入国した。当時、母親には中国に戻るつもりはないことを伝えていたという。
グアンさんは撮影した動画をインターネットに投稿したが、母親は「動画の内容については何も知らなかった」と話した。