【12月29日 東方新報】大学院入試が近づき、受験生向けの宿泊施設いわゆる「考研房」が今年も予約のピークを迎えている。予約サイトの統計では、山東省(Shandong)済南市(Jinan)が最も予約が集中する都市となり、吉林省(Jilin)長春市(Changchun)、山東省青島市(Qingdao)、江西省(Jiangxi)南昌市(Nanchang)が続いた。

SNS上では、済南市長清区の試験会場周辺でホテル料金が試験期間中に数倍へ跳ね上がったとの投稿が相次ぎ、1泊1000元(約2万2095円)を超えるケースもみられる。2026年度の全国大学院入試(一次試験)は2025年12月20日・21日に実施され、長清区の大学城エリアには主要な試験会場が集まっていることから、多くの受験生が試験前日の19日と当日の20日の宿泊を早めに手配している。

受験生が公開した画像によると、星曼ホテル(長清名流広場店)は12月10日時点で1泊80元(約1767円)だったが、12月12日には140元(約3093円)、そして試験前後の19日と20日には1038元(約2万2935円)まで値上がりした。メディアが問い合わせたところ、ホテル側は「確かに値上げ幅は大きいが、周囲のホテルも同様で、当店だけ据え置くのは難しい」と説明した。

記者が調べたところ、大学城周辺の複数ホテルで19日・20日の料金が通常時の3〜6倍に設定されており、大幅な値上げが広範囲で確認された。

これを受け、済南市長清区市場監督管理局は、大学院入試のたびに同地域でホテル料金が上昇しやすい状況を踏まえ、11月26日に発改委と連名で告知を出していたと明らかにした。この通知では、11月7日〜9日の同等ランク客室の平均価格を基準とし、試験期間中の値上げ幅を最大100%までに抑えるよう定めている。また、ホテル同士の談合や便乗値上げを禁止し、規定を超える値上げは価格操作として処分の対象となるとした。

当局は今回指摘されたホテルについて、価格記録の提出を求め、事実確認の上で対応する方針を示した。

毎年この時期になると「考研房」の高額化が社会問題として取り上げられる。過去にも複数の地域で規制通知が出され、ホテル価格や代理予約の不正行為に対する取り締まりが行われてきた。

中国青年報(China Youth Daily)の論評では、事業者側が「需要に応じた値上げは合理的」と主張する一方、平常時の数倍に及ぶ急激な値上げは、受験生を対象に暴利を狙う行為だと受け止められやすいと指摘する。受験生もまた、宿泊需要が増える時期の一定の値上げは理解できるものの、一帯となって極端な値上げが行われる状況には納得しがたいと感じている。

多くの受験生は安定した収入のない学生であり、選択肢が限られた状況につけ込んで高額価格を設定するやり方は、公正な商取引の原則にも社会的責任にも反するとの声が上がっている。外部からは、こうした「稼ぎ方」は好ましくないという批判も出ている。(c)東方新報/AFPBB News