【12月28日 東方新報】この冬、全国的に盛り上がりを見せる「氷雪観光」は、四川省(Sichuan)でも存在感を強めている。西嶺雪山に広がる情緒ある冬景色、峨眉山・金頂を包み込む白銀の世界、そしてスキー場に集う多くの人びと。こうした光景が重なり合い、四川ならではの冬の旅の魅力が広がりつつある。

このほど、四川省アバ・チベット族チャン族自治州(Ngawa Tibetan and Qiang Autonomous Prefecture)汶川県にある「羌人谷スキー場」が今季の営業を開始した。初日には千人を超えるスキー客が訪れ、シーズン初滑りを楽しんだ。同自治州は高原特有の雪景色と多様な地形に恵まれ、九寨溝の青く透き通る氷景色や黄龍の幻想的な池、個性の異なる七つのスキー場などを擁する。滑る楽しさに加え、景観や民族文化に触れられる点も、この地域ならではの魅力となっている。

こうした動きは、四川全体で進む冬季観光の広がりを象徴している。氷雪観光が全国的な注目を集める中、四川は「温暖な気候の中で楽しむ雪」「豊かな日差し」「温泉」「民族文化」といった地域特性を生かし、観光商品の開発やサービス向上、ブランドづくりを一体的に進めてきた。スキー中心の観光から、滞在型・体験型の冬の旅へと内容は着実に広がっている。

現在、四川では、食、宿泊、交通、観光、買い物、娯楽といった旅行の各要素を総合的に整え、訪れる人が旅の始まりから終わりまで快適に過ごせる環境づくりを進めている。本格的なスキーを楽しみたい層から、家族で雪遊びを楽しむ旅行者、雪景色と温泉を組み合わせた滞在を求める層まで、多様なニーズに応える冬の観光コンテンツがそろいつつある。

近年は、「氷雪×学び」という新たな旅行スタイルも注目を集めている。成都市(Chengdu)の屋内型スノーパーク「熱雪奇跡」では、冬季の研学旅行や家族向けレジャーの利用が増加し、今冬の来場者数は前月比で8%以上伸びた。研学旅行は来場者のおよそ3割を占め、今季だけで50団体以上を受け入れたという。

四川の冬の魅力は、国内にとどまらず海外からの旅行者にも広がり始めている。四川省の第15次五か年計画では、国際的な観光拠点づくりとインバウンド市場の拡大が打ち出されており、冬季観光はその重要な柱の一つと位置付けられている。

成都市の旅行会社によると、例年は観光の閑散期にあたる11月でも、今年は東南アジアから数千人規模の旅行者が訪れ、にぎわいを見せたという。北方地域に比べて気候が穏やかで、スキー場から都市部への移動時間が短く、滑走後に市街地で温かく過ごせる点が高く評価されている。3〜6日程度の短期旅行を組みやすい点も、東南アジア市場で支持される理由となっている。

冬の観光消費をさらに後押しするため、四川省は「2025四川冬季観光シーズン」をスタートさせた。スキーや温泉、リゾート滞在など七つのテーマを軸に、5000件以上の文化・観光イベントを開催。「秦巴山地の民俗雪旅」や「蜀山で楽しむ『暖かい雪』スキー旅」といったモデルコースも打ち出し、旅行予約サイトや金融機関と連携して総額6000万元(約13億2065万円)超の旅行クーポンを提供している。宿泊割引や交通面の改善を通じ、手頃で快適な冬の旅行環境を整えている。

詩人・李白(Li Bai)が「蜀(現在の四川省)には仙境の山が多い」と詠み、杜甫(Du Fu)が「窓に西嶺の万年雪を望む」と詩に残したように、雪は古くから四川の風景と詩情を象徴してきた。いま四川は、その詩的なイメージを現代の観光資源として再構築している。スキーの爽快感、陽光の下で立ち上る温泉の湯気、チベット族やチャン族の村に漂う生活の気配、都市から望む雪山の稜線——。こうした要素が重なり合い、四川の冬は人びとの季節のイメージを静かに塗り替えつつある。(c)東方新報/AFPBB News