【12月26日 東方新報】12月に入り、国際線市場の競争が一段と激しくなっている。12月10日までに確認できたところでは、中国東方航空(China Eastern Airline)、中国南方航空(China Southern Airlines)、海南航空空(Hainan Airlines)、吉祥航空(Juneyao Airlines)など複数の航空会社が、国際線の新規就航・増便・運航再開を一斉に進めており、元旦、冬休み、春節(旧正月、Lunar New Year)に向けた旅行需要の獲得合戦が本格化している。

◾️国際線への取り組みが加速

12月2日午前、南方航空の広東省(Guangzhou)広州(Guangzhou)—マドリード線(CZ377便)が初就航し、274人の乗客を乗せて広州白雲国際空港(Guangzhou Baiyun Airport)を出発した。この新路線を利用した乗客によると、往復とも搭乗率は90%を超え、ほぼ満席だったという。

南方航空はさらに12月3日、広州—ダーウィン直行便を開設。広州発着のオーストラリア路線として最短の約6時間で到着できることから注目されている。

一方、中国東方航空はより戦略的な新路線を投入した。12月4日未明、上海—オークランド—ブエノスアイレス線が正式に運航開始。これは現在の世界最長の商業運航ルートで、地球上の「対蹠点(反対側)を結ぶ」初の定期航空路線でもある。この開設により、上海から南米主要都市への直行アクセスが初めて実現した。

海南航空も東南アジア向けのネットワーク拡充を進め、12月7日の瓊海—クアラルンプール線に続き、12月15日に海南省(Hainan)海口(Haikou)—ホーチミン線、12月21日に海口—ハノイ線を開設する予定だ。

吉祥航空はさらに長期戦略を示し、2026年1月15日に上海浦東—マレーシア・タワウ線を直行便として就航させると発表。世界的ダイビングスポット「シパダン(仙本那)」への上海からの直行アクセスが初めて可能になる。

また四川航空(Sichuan Airlines)は12月7日、成都(Chengdu)—オークランド線を再開。南方航空は2025年12月~2026年2月にかけて、広州—シドニー線を1日4往復に増便する予定だ。

◾️元旦の出入国航空券予約は15%増

航空各社が路線投入を急ぐ背景には、年末から朱雲節にかけての大規模な旅行需要がある。航空券アプリの「航旅縦横」の趙楠(Zhao Nan)業務開発部長によると、12月下旬から元旦・冬休み・春節が連続し、年間最大級の旅行ピークが生じる。帰省、留学生、観光客と複数の需要が重なるため、旅行需要が一気に活発化する見込みだという。

航旅縦横のデータでは、12月8日時点で2026年元旦の国内線予約は106万件を突破し、前年同期比45%増。国際線の出入国チケット予約も53万件を超え、前年比約15%増となっている。人気の渡航先はバンコク、ソウル、シンガポールがトップ3で、ロンドンやシドニーなど長距離路線への需要も高まっている。

同程旅行のデータでは、12月29〜31日に3日間の有休を取得すれば「3日休めば8日連休」という日程が可能となることから、12月27日前後発の海外旅行の予約が大幅に増加。「5時間圏」の近距離では、マレーシア、シンガポール、ベトナム、韓国、タイ、インドネシア、カザフスタンが人気となっている。

さらに、オーストラリア、トルコ、エジプト、スイスなど中長距離の予約も増加し、旅行先の多様化が進んでいる。趙楠氏は、国際線が増便・新規開設・運航再開されることで、航空各社の運航能力が一段と引き出され、国際ネットワークの利便性がさらに高まると指摘する。

「広州—ダーウィン線や上海—オークランド—ブエノスアイレス線などの投入は、中国人旅行者の海外渡航ニーズに応えるだけでなく、海外から中国への訪問需要にもつながり、南半球や欧州方面の市場拡大に寄与している」と述べている。(c)東方新報/AFPBB News