北朝鮮による拉致・抑留問題が再び注目…南北対話断絶で交渉困難の声も
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【12月14日 KOREA WAVE】韓国政府が把握する北朝鮮による拉致・抑留被害者の数が再び注目されている。イ・ジェミョン(李在明)大統領が12月3日に開いた外国人記者向け会見で、抑留者問題に対して「初耳だ」と発言したことをきっかけに、長年棚上げされてきた拉致・抑留者の送還問題が再び俎上に上がった。
政府は、今後の南北対話の再開を通じて問題の解決を目指す構えだが、北朝鮮との交渉ルートが完全に閉ざされている現状では、進展は容易ではないとの見方が広がっている。
統一省によると、「拉致被害者」とは朝鮮戦争中あるいはその後、北朝鮮により南から連れ去られた人物を指す。戦時中の拉致被害者は約10万人と推定され、休戦協定以降に拉致されたケースは3835件。このうち516人が現在も帰還していない。
一方、2010年代以降に北朝鮮により拘束された人物は、いわゆる「抑留者」として区別されており、韓国政府はキム・グクギ、キム・ジョンウク、チェ・チュンギルの3氏の宣教師と、脱北者3人の計6人を抑留者として把握している。いずれも2013〜2016年にかけて拘束され、現在に至るまで安否や所在は確認されていない。
2023年11月、政府はこれら抑留者6人を法的に「拉致被害者」と認定し、支援対象とした。
拉致・抑留者の存在は、12月3日に開かれた外国人記者会見で、記者からの質問により再びクローズアップされた。大統領は「個別の情報がなく、初めて聞いた」と答え、追って調査する姿勢を示した。
翌日、大統領室は「国民的共感をもとに南北対話の早期再開を図る中で、拉致・抑留問題の解決を進める」との方針を発表。関係改善を通じて人道問題に取り組む意向を明らかにした。
こうした中、ムン・ジェイン(文在寅)政権時の青瓦台(大統領府)高官だったユン・ゴンヨン(尹建永)議員はSNS上で「2018年、ムン大統領(当時)がキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記に抑留者の即時釈放を求め、実際に解放直前まで進展していた」と明かした。
キム総書記は当時、「良い知らせを伝えるよう努力する」と約束していたという。
ただ、2023年末に北朝鮮が韓国を「敵対国家」と位置づけた後は、南北間のすべての協議が断絶。韓国側の対話要請にも一切応じていない。現在では、人道的な課題であっても交渉すら始めることが困難な状況にある。
さらに、北朝鮮にとって拉致・抑留者問題は極めて敏感なテーマとされており、韓国政府が先に交渉のテーブルに載せることも政治的に難しい側面がある。
このため、専門家の間では、まず近年の抑留者(宣教師ら)から交渉を開始し、信頼構築後に拉致被害者問題へと議題を広げていく段階的アプローチが現実的だとする意見も出ている。
戦後拉致被害者家族連合会のチェ・ソンリョン(崔成龍)理事長は「南北の対話がなければ、被害者の安否確認すらできないのが現状だ。今回の件をきっかけに、せめて対話の再開が叶えば」と訴えた。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News