【12月25日 東方新報】上海市金山区・廊下鎮の現代農業園区にある松林エコ養豚場は、市内最大規模を誇る楼房型の養豚施設で、年間4万5千頭以上を飼育している。大量のふん尿をどう処理するかは、長年この施設の大きな課題だった。

養豚場で出るふん尿は、嫌気性発酵によってバイオガスに変換され、これまで場内の発電や暖房に使われてきた。しかし必要量をまかなってもなお余剰が生じ、処理しきれない分は燃やすしかなく、資源の浪費や環境への負荷が問題視されていた。

この状況を転換させたのが、申能集団(Shenergy)傘下の申能環境が進めたバイオガス利用の高度化だ。松林養豚場に「上海市バイオマス総合利用モデル基地(一期)」が整備され、養豚場で発生するバイオガスを精製してバイオ天然ガスに転換し、それを原料に「グリーンメタノール」を生産。上海港へ運ばれ、船舶用燃料として利用される仕組みが構築された。これにより、これまで処理に困っていた「廃棄物」が、都市のエネルギーとして生まれ変わる道が開けた。

申能環境の関連企業によると、精製されたバイオ天然ガスは基準に基づき都市ガス管網に接続されており、今年9月までにおよそ50万立方メートルが市内に供給された。このバイオ天然ガスは都市ガスの一部を担うだけでなく、上海が推進する10万トン級グリーンメタノール計画の主要原料にもなっている。
さらに、バイオ天然ガスの製造過程で発生する二酸化炭素も無駄にはならない。隣接する微細藻類の培養施設に送られ、藻類の成長に使われている。ここでは年間数十トンの藻類液が生産され、動物飼料や健康食品などの原料として活用されている。

松林での成功を受け、このモデルは他の畜産施設にも広がりつつある。2025年には松林養豚場から約3キロ離れた金山種奶牛場(市内最大の酪農施設)で、「バイオマス総合利用モデル基地(二期)」の工事が始まる。牛ふんを主原料に、嫌気性発酵やガス精製などのプロセスを再現するもので、すでに一期設備は試運転に入っている。酪農場では牛ふんに加えて野菜の残渣なども活用し、より多様な廃棄物を資源化する取り組みが始まっている。

申能環境は、松林での事例が「バイオガスを精製してバイオ天然ガスとして流通させる技術の一連の流れを確立した点で大きな意味があった」と説明する。酪農施設では、この技術を基盤に副産物の高付加価値利用まで含めた新しい産業モデルを展開している。将来的には、農業廃棄物を対象としたさらなる発酵技術や新しい利用方法の開発も進めていく方針だ。

世界的にバイオマスエネルギーの開発が加速する一方、技術が成熟しつつあっても、コスト管理や産業規模への拡張には依然課題が多い。農業が盛んな地域ではない上海が先駆的に取り組む理由について、申能環境の担当者はこう語る。

「私たちが取り組んでいるのは、単なる廃棄物処理ではありません。超大都市が持続的に発展するための新しいエネルギーモデルを探る挑戦なのです」(c)東方新報/AFPBB News