【12月12日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は11日、米国と欧州がウクライナ紛争終結計画で合意できれば、ロシアが「本当に平和を望んでいるのか」を「試す」ことができると述べた。

ルッテ氏は訪問先の独ベルリンでロシアのウラジーミル・プーチン大統領に言及し、「これまでプーチン氏は、都合の良い時にだけ平和を望んでいるふりをして、戦争を継続するための時間稼ぎをしてきた」と述べた。

さらにドナルド・トランプ米大統領について、「今すぐ流血(戦争)を終わらせる」ことを望んでおり、「プーチン氏を交渉の席に着かせることができる唯一の人物だ」と指摘。

「だから、プーチン氏を試してみよう。彼が本当に平和を望んでいるのか、それとも虐殺の継続を望んでいるのかを見極めよう」と付け加えた。

ウクライナは10日、トランプ氏が先月提示した28項目の和平案に基づき、ロシアによる侵攻終結に向けた修正案を米国側に送ったと発表した。

当初案は、ロシアがいまだ占領していない領土をウクライナが放棄することを含んでいたが、ウクライナと同国を支援する欧州諸国は、ロシアの強硬な要求にあまりにも屈服しすぎていると見なした。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、今週末に米国とのさらなる協議が予定されており、ウクライナに関する国際会議が「来週初めに開催される可能性がある」と述べた。

ルッテ氏はその後、パネルディスカッションで、「ウクライナに関して、米国と欧州は合意に達することができるか? できると確信している」「だが、ロシアが受け入れるかどうかは分からない。これは試金石だ」とも述べた。

さらに、ロシアによるウクライナ侵攻において、中国が「ロシアの生命線(物資補給路)」になっていると批判した。

ルッテ氏は安全保障会議での演説で、「中国は同盟国(ロシア)がウクライナで敗北するのを阻止しようとしている」「中国の支援なしで、ロシアがこの戦争を継続することはできないだろう」と述べた。

ロシアの主要貿易相手国の一つである中国は、ウクライナ紛争について「中立」を標榜(ひょうぼう)しているが、ロシアによる侵攻に対する批判を避けている。

ルッテ氏はまた、ウクライナが「ロシア占領下」に置かれた場合のNATOの財政面での影響についても警告。

「NATOは東方前線における軍事プレゼンスを大幅に増強する必要があるだろう」「そして加盟国は、国防費と防衛生産をこれまで以上に迅速に増強しなければならなくなるだろう」と述べた。(c)AFP