【12月11日 AFP】ウクライナに送られた西側諸国の武器が、大規模に犯罪組織へ不法に流用されているとのロシア側の主張について、NGO団体は10日、それを裏付ける証拠はないとの調査結果を報告した。

スイスに拠点を置くスモール・アームズ・サーベイとウクライナ安全保障研究センター(CENSS)による共同報告書によると、ウクライナ当局はロシアによる侵攻開始後、不法に所持されている武器をそれまで以上に押収している。

両団体は「ウクライナが輸入した西側諸国の武器の大部分が武装集団や犯罪者に流用されているという、ロシア政府と親ロシア派メディアの主張を裏付ける証拠はほとんどない」と指摘。主張は「誤りであり、根拠がなく、誇張されている」と結論づけた。

報告書によれば、ロシアによる全面侵攻前の3年間と侵攻後の3年間を比較すると、押収された銃器は60%以上増加した。これには拳銃や自動小銃、短機関銃、軽機関銃などが含まれる。

ウクライナ司法当局の数字に基づいた報告書によると、同時期に擲(てき)弾発射器、手りゅう弾、ロケットランチャー、地雷の押収量は2倍以上に増えた。

紛争初期には、ウクライナに送られた武器が欧州の犯罪者にわたる可能性があるとの懸念が示されていた。こういった主張は、ロシア当局、親ロシア派のSNSアカウントによって拡散され、西側の軍事支援の危険性を強調する狙いがあった。

しかしながら報告書は、ロシアの治安部隊がウクライナにおける不法な武器流通に直接、あるいは間接的に加担していると指摘した。

ロシアの武器庫は秘密作戦で使用するため事前に配置されており、ウクライナ東部では親ロシア派の「代理勢力」に武器が供与されている。また、戦場や隣接地域におけるロシア軍の兵器紛失や放棄も、武器の違法流入の一因となっていると報告書は述べている。(c)AFP/Fabien ZAMORA