【12月12日 CNS】「うちのロボットは決して安売りしているわけではありません」「私たちは品質で勝負する高級路線です」。こうした言葉が、中国の製造企業から最近よく聞かれるようになった。かつて「中国製=安くてそこそこ」というイメージが世界に定着していたが、その印象は今、確実に変わりつつある。中国のハイエンド製造は、技術力や生産体系、品質管理の蓄積を背景に、新たな競争力を築き始めている。

中国は世界で最も整った産業体系を持ち、製造業の付加価値額は世界の約30%を占め、製造業規模は15年連続で世界1位だ。しかし、数の優位だけでは十分ではない。近年は科学技術の自立化が進み、研究成果が次々と実際の生産力へ転換されている。これにより、中国製造の基調が変化し、価格よりも技術力、信頼性、システムとしての総合価値で市場を勝ち取る企業が増えている。多くの企業が「作る側」から「価値を生み出す側」へと転換しつつあるのだ。

この変化は、製造業が強い江蘇省(Jiangsu)常州市(Changzhou)で特に鮮明だ。協働ロボットの分野では、節卡ロボット(JAKA)の技術力は海外トップブランドと肩を並べ、高価格でも生産効率という確かな価値に顧客が投資している。高級車の重要部品には、龍城精鍛集団が手がける精密鍛造部品が多く採用されており、世界シェア38%を占める「隠れた王者」として高い品質で支持を得ている。さらに、国家級の「専精特新(特化・精密・特色・革新)」を備えた「小巨人企業(高度な技術力を持つ特化型中小企業)」である微億智造は、AI画像分析やロボット制御を活用した産業向け具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)ロボットを展開し、顧客は単なる自動化設備ではなく「柔軟で高度な生産システムそのもの」に投資している。

長江デルタ地域(上海市、江蘇省、浙江省<Zhejiang>)では、江蘇省の太陽光発電、上海市の集積回路、浙江省のスマート家電、安徽省(Anhui)の新型ディスプレイといった産業が結びつき、世界級の先進製造業クラスターが形成されつつある。粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)でも、深セン市(Shenzhen)の通信設備、広東省(Guangdong)東莞市(Dongguan)の新材料、広州市(Guangzhou)のスマート自動車を中心に、活力あるイノベーションの回廊が広がっている。これらは共通して、中国製造が追求する新たな価値観を示している。すなわち、低価格競争から距離を置き、技術力で世界の産業チェーンの中核に入り込み、自らの価値を定義して細分化された市場でリーダーとなることだ。

中国製造が「安全性」「信頼性」「核心技術」「世界トップレベルの能力」と結び付けられるほど、企業は価格決定の主導権を持てるようになる。そこには、産業構造が転換し、低賃金と資源消費に依存した時代が終わり、技術・品質・ブランドを基軸にした発展段階へ移行したという大きな背景がある。企業が「私たちは低価格で勝負しません」と自信を持って語り、その実力を世界が認め始めた時、得られるのは注文だけではなく、国際競争における発言力やルール形成への関与といった、より深い影響力である。

さらに重要なのは、各企業がそれぞれの分野で技術壁を破り、品質基準を引き上げていくことが、中国全体の産業チェーンの安全性を高める点だ。ひとつひとつの専門領域が強靱になれば海外への依存度が下がり、産業チェーン全体の耐性が増す。ひとつの「知られざるトップ企業」の成長が、中国製造の価値の境界線を押し広げていく。こうして価値創造型に進化した中国製造企業は、中国が製造強国へ向かううえで欠かせない存在になりつつある。その価値は単なる価格ラベルでは表せず、産業の進化を支える根本的な構造の中に深く刻み込まれ始めている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News