【12月10日 CGTN Japanese】中国発の人工知能(AI)技術がスマートフォン分野で新たな転換点を迎えています。中国ではこのほど、大規模言語モデル(LLM)をOSに深く統合した世界初の「AIスマホ」が発表され、海外メディアからも強い関心が寄せられています。海外メディアの一部は、この動きを「中国における第2のDeepSeek(ディープシーク)時刻かもしれない」と評し、AI革新の新たな象徴として位置付けています。

話題となっているのは、中興通訊(ZTE)と字節跳動(バイトダンス)が共同開発した「努比亜M153(通称:豆包スマホ)」です。最大の特徴は、AIエージェント機能をOSレベルに組み込み、人間のように複雑な操作を自律的におこなえる点にあります。このコンセプトに対し、国際的な技術ブログ「Tech-Now.io」は、モバイルデバイスにおける高度AIの普及を大幅に早める可能性があると指摘しました。

このスマホは、ユーザーが音声指示を一度出すだけで、複数のアプリを横断した一連の作業を自律的に遂行します。例えば、SNSで見つけた商品について「各ショッピングアプリで最安値を探して購入準備をして」と指示すると、端末は画像から商品情報を抽出し、主要通販プラットフォームを横断検索して価格を比べ、最安値のページで決済直前の画面まで自動で進めます。

市場の反応も大きく、初期モデルは発売直後に完売し、転売価格は4割以上も跳ね上がったと報じられています。米メディア「Wccftech」は、今年初めに世界を驚かせたDeepSeekモデルの低コスト高性能に続き、中国が再びAI分野で主導権を示したと評価しました。インド紙「インディアン・エクスプレス」も、現時点で豆包スマホと同水準の自律性を持つ端末は他国に存在しないと指摘しています。

一方で、OSへのLLM統合は、データ利用、プライバシー、セキュリティーを巡り議論も巻き起こしています。中関村情報消費連盟の項立剛理事長は、AIエージェントを本格的に機能させるにはOSやハードの深層まで統合する必要があるとしつつ、「データ安全に対する懸念は大きく、企業には安全な利用環境を構築する責任がある」としています。
(c)CGTN Japanese/AFPBB News