【12月9日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は8日、英国、フランス、ドイツの首脳と英ロンドンで会談し、ロシアの侵攻を巡る和平案について、領土で妥協しない姿勢を強調した。

英国のキア・スターマー首相は、ゼレンスキー氏、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相を首相官邸に招き、ウクライナの和平交渉に関して議論した。

会談後の記者会見で、ゼレンスキー氏は「ロシアは我々に領土を放棄するよう求めているが、我々は何も譲りたくない」と語り、「領土に関する難しい問題があり、これまでのところ妥協はない」と述べた。

会談後、欧州の3首脳はゼレンスキー氏への支持を改めて表明。ドナルド・トランプ米大統領が提案する和平案に対して懐疑的な姿勢を示した。

スターマー氏は、ゼレンスキー氏が米国の和平案を受け入れることは強制しないと述べ、「最も重要なのは、もし敵対行為が停止されるならば、それが公正であり、持続的でなければならないということだ」と語った。

マクロン氏はX(旧ツイッター)に「ウクライナの再建のための強力な安全の保証と措置を準備している」と投稿し、欧州とウクライナの立場と米国の立場の「収束」を見つけることが重要だと述べた。

メルツ氏は「米国側からの文書に見られるいくつかの詳細について懐疑的だが、話し合う必要がある」と述べた。

米国とウクライナ当局による数日間の交渉は6日に終了したが、突破口は見いだせなかった。米国は先月、ウクライナに大幅な譲歩を迫る内容とされる和平案を示したのに対し、ウクライナと欧州が修正を求めて協議を重ねている。

トランプ氏は7日、ゼレンスキー大統領がロシアとの戦争終結に向けた計画に関与していないことに「少し失望している」と述べた。

ゼレンスキー氏は「アメリカなしでは管理できないことがあり、ヨーロッパなしでは管理できないことがある。だからこそ、いくつかの重要な決定を下す必要がある」と述べた。

ゼレンスキー氏は8日、ベルギーのブリュッセルに移動し、北大西洋条約機構(NATO)と欧州委員会の首脳と会談を行う。その後イタリアを訪問する。(c)AFP