特許が航路を守る、企業の海外進出は自信にあふれる・中国
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【12月17日 People’s Daily】スイスのジュネーブで「2025年世界知的所有権機関(WIPO)グローバルアワード」が発表され、宇樹科技(Unitree Robotics)が95の国と地域の780社以上の企業の中から選び抜かれ、受賞企業の1社となった。
世界中で約200件の権利化された特許を保有し、約50件のPCT(特許協力条約)に基づく国際特許出願を行い、技術の保護と製品の海外展開を協調して推進する、宇樹科技が知的財産分野でこの世界的な栄誉を得た背景には、ロボット分野における確固たる技術力がある。
宇樹科技の成功は孤立した事例ではない。世界経済の変革と技術革命の潮流の中、中国企業が次から次へと知的財産分野で海外進出を果たしている。2024年、PCT国際特許出願数とハーグ制度による意匠の国際登録出願数で中国はいずれも世界1位となり、中国が「世界の工場」として供給を担う存在から、「イノベーションの実験室」として世界をけん引する存在へ歴史的転換を遂げたことを裏付けている。
なぜ企業は海外で特許を取得するのか、これについて中国信息通信研究院知的財産権・革新発展センターの李文宇(Li Wenyu)主任は「知的財産権の『海外展開』は、海外市場への参入に不可欠な要件だ」と指摘する。
特許には地域性があり、製品を輸出するには、事前に知的財産権の戦略的配置を図り、リスクを未然に防ぐ必要があるという。
長城汽車(Great Wall Motor)技術センターの栄雪東(Rong Xuedong)副総経理は「製品が海外の目標市場に参入する18~24か月前までに、中核的な知的財産権の配置を完了させなければならない」と強調する。同社はこれまでに海外特許を累計約3000件出願しており、知的財産権を戦略的な支点とする海外展開モデルを確立し、権利侵害リスクを効果的に回避するとともに、差別化された競争優位性を形成している。
知的財産権の「海外展開」は、企業のブランド価値を効果的に維持する役割も果たす。中国科学院大学・知的財産権学院の馬一徳(Ma Yide)院長は「特に商標の先取り登録やブランド模倣に関して、中国企業は海外で多くの不利益を被ってきた」と指摘する。
数年前、海信集団(Hisense Group、ハイセンス)の「Hisense」商標がドイツで外国企業により先取り登録され、商標を取り戻そうとした際に法外な価格を要求された事例や、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー、Luckin coffee)の商標がタイで先取り登録され、企業が長期間の権利保護活動に追われた事例などがある。これらはいずれも企業のブランドイメージと海外展開戦略に悪影響をおよぼした。
「新たな技術革命と産業変革が深く進行する中、知的財産権業務には新たな歴史的使命が課せられている。新しい質の生産力の発展を推進し、高水準の対外開放を支えることだ」、馬院長はこう指摘する。
データによると、今年上半期、中国国内出願人によるPCT国際特許出願とハーグ制度による意匠出願は、前年同期比でそれぞれ12.7%、23.2%増加した。世界のトップ5000ブランドにおいて、中国ブランドの価値は1兆7600億米ドル(約275兆5104億円)に達し、世界第2位となった。
5G通信、人工知能(AI)、航空宇宙、新エネルギー自動車、バイオ医薬、量子情報などの戦略的新興産業分野において、中国は数多くの高価値の中核特許を研究開発・育成し、知的財産権によって国際競争に確固たる地位を築き、市場を勝ち取る多国籍企業が続々と現れている。グローバルな視点から見ると、中国は知的財産権導入大国から知的財産権創出大国への転換を加速している。
知的財産権の「海外展開」は技術集約型企業によって主導されている。技術集約型企業は研究開発への投資が大きく、革新的成果が多く、海外での展開もより広範だ。
海外展開の過程で、企業の知的財産権保護意識と紛争対応能力は次第に高まっている。業界関係者によれば、2024年以降、海外における中国企業の知的財産権関連訴訟の勝訴率は70%を超えている。
現在、中国は「特許プール」の構築と運用を積極的に進めている。「特許プール」とは、複数の特許をまとめて管理し、参加者同士の交差ライセンスや、利用者に対するワンストップ(一括)ライセンスなどの業務・関連サービスを提供する特許活用の仕組みである。
中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ、Huawei)」を例にとると、すでに世界の数百社の企業が二国間協定または「特許プール」を通じて、同社の特許使用許諾を有償で取得している。「特許プール」は特許資源を統合し、特許使用許諾の取引コストを削減し、特許技術の産業化応用を促進するとともに、企業の特許コンプライアンス意識とリスク管理水準の向上にも寄与することができる。
80年6月、中国は世界知的所有権機関に正式に加盟した。その後、中国は知的財産権分野のほぼ全ての主要国際条約に相次いで加盟し、国際条約で定められた様々な責任と義務を積極的に履行し、知的財産権国際ルールの確固たる擁護者、重要な参加者、積極的な建設者の役割を日増しに強めている。
中国は世界的な知的財産権パートナーシップネットワークを継続的に推進し、24年9月現在、80以上の国・地域と安定した協力関係を築き、執行中の知的財産権協力協定は200件を超えている。20年から24年にかけて、中国の知的財産権使用料の年間輸出入総額は3194億4000万元(約7兆596億円)から3987億1000万元(約8兆8115億円)に増加し、年平均成長率は5.7%に達した。
将来を見据えると、中国のイノベーションの原動力と発展の活力は、絶えず質を高め、飛躍を続け、今後も世界の革新的な発展に重要な力を貢献していくと考えられる。(c)People’s Daily /AFPBB News