【12月6日 AFP】北欧スウェーデンの右派政権は5日、ウクライナ支援の資金を確保するため、アフリカ4か国への援助を打ち切り、三つの大使館を閉鎖すると発表した。

ベンヤミン・ドゥーサ国際開発協力・貿易相は記者会見で、来年、ジンバブエ、タンザニア、モザンビーク、リベリアのアフリカ4か国に加え、南米ボリビアへの援助を段階的に打ち切り、開発援助に重点を置いていたジンバブエ、リベリア、ボリビアの大使館を閉鎖すると述べた。

ドゥーサ氏は、「政府はウクライナへの援助を少なくとも100億クローナ(約1650億円)に増額する計画だ。これは、援助総額の約20%をこの特定の目的(ウクライナ支援)に集中させることを意味する」と述べた。

スウェーデンのアフリカ4か国に対する援助額は、過去25年間で500億クローナ(約8240億円)以上に上るという。

ドゥーサ氏は、今回の方針転換がスウェーデンの人道支援に影響を与えることはないと強調し、反移民を掲げるスウェーデン民主党の閣外協力を受ける中道右派連立政権が設定した援助の優先順位に沿った措置だと説明した。

スウェーデンは1970年代から多額の開発援助を行ってきたが、これに先立ちイラクへの開発援助についても打ち切ると発表した。

また、援助を移民削減の取り組みと連携させ、紛争地帯に近い国々への援助を増額してその国が移民を受け入れられるようにするとともに、援助受け取り国に対し、スウェーデンで犯罪を犯し、有罪判決を言い渡された自国民の引き取りを義務付けることも目指している。

ドゥーサ氏は、「スウェーデンはあまりにも長い間、まるでスプリンクラーであるかのようにあちこちに援助をばらまいてきた。その結果、十分な監視ができなかった」「多くの場合、私たちの支援が本当に役に立ったのかどうかさえ分からない」と述べた。

スウェーデンはタンザニアに対してだけでも、1962年以降700億クローナ(約1兆1500億円)以上の援助を行ってきたという。

ドゥーサ氏はスウェーデンの専門家による2016年の報告書に言及し、「スウェーデンの援助は、ある特定の期間においてタンザニアの貧困にわずかなプラス効果しか及ぼさなかったと結論付けられている」「別の期間には、改革へのインセンティブがなかったため、援助がマイナス効果さえもたらし、タンザニアをより貧しくさせたことすらあった」と説明。

「アフリカなどのいくつかの国々は数十年かけて援助依存に陥ってきた。援助依存こそが、これらの国々が私たちが期待するほど多くの改革を実施できていない原因となっている可能性がある」と述べた。(c)AFP