神経剤ノビチョクでの英国人女性中毒死、プーチン氏に「道義的責任」
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【12月5日 AFP】英国は4日、2018年に英国人女性が神経剤ノビチョクで中毒死した事件に関する調査で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に「道義的責任」があるとの結論が出たのを受け、ロシアの情報機関に制裁を科し、駐英ロシア大使を呼び出した。
3児の母であるドーン・スタージェスさん(44)は、香水の瓶の中身がノビチョクだと知らずに使い、死亡した。
この香水の瓶は、2018年3月に元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏暗殺未遂事件の実行犯が持ち込んだものだった。実行犯は事件後、瓶をイングランド南西部ソールズベリーで捨てた。
調査報告書は、この暗殺未遂事件について「プーチン大統領によって最高レベルの承認を得たに違いない」と結論付け、その4か月後のスタージェス氏の死についてもプーチン大統領に「道義的責任」があると結論付けた。
報告書は、「この攻撃は相当な決意を示しており、ロシアの力を見せつけることを期待していたのは明らかだ」と指摘している。
キア・スターマー首相は4日、「この報告書は明白だ。道義的責任はプーチン氏にある」「これは英国内における衝撃的かつ無謀な敵対行為のさらなる証拠だ」と記者団に語った。
報告書の公表後、英政府は駐英ロシア大使を呼び出したと発表した。
英国外務省によると、同国はスクリパリ氏暗殺未遂事件を実行したロシア軍参謀本部情報総局(GRU)全体に制裁を科した。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は国営ロシア通信(RIA)に対し、「ロシアは捏造(ねつぞう)された口実の下で科される不当な制裁を認めず、報復する権利を留保する」と述べた。
英国は2016年の調査で、2006年にロンドンでクレムリン(ロシア大統領府)批判で知られた元スパイのアレクサンドル・リトビネンコ氏検出が困難な放射性物質「ポロニウム210」を緑茶に入れられて毒殺された事件についても、プーチン氏が「おそらく承認した」と結論付けている。(c)AFP