【12月3日 AFP】英ロンドンで2日、「ファベルジェの卵」が競売に出品され、2290万ポンド(約47億円)で落札された。カール・ファベルジェの作品として過去最高価格となった。

落札された「ウィンターエッグ」は、ファベルジェ作品の中でも最も美しいものの一つとされる。競売を主催したクリスティーズは、落札者について詳細は明らかにしていない。

ウィンターエッグは、1913年にロシア皇帝ニコライ2世が母親のために制作を依頼したもので、事前の販売予想価格は2000万ポンド(約42億円)以上とされていた。

ファベルジェは、31年間にわたり当時のロマノフ家のために50個のインペリアル・イースターエッグを制作した。これは1880年代にアレクサンドル3世が始めた伝統で、イースターの贈り物として依頼されたものだ。

後継者であるニコライ2世は、母親と妻のために毎年2点のイースターエッグを制作するよう依頼していた。現在、所在が判明しているインペリアル・イースターエッグは43点のみとなっている。

ロッククリスタルから制作されたウィンターエッグは、約4500個のローズカットダイヤモンドが散りばめられた氷のような球体で、高さはわずか14センチ。

内部には、白色石英のアネモネと金線の茎で作られた花束が、プラチナ製のバスケットに収められている。

ウィンターエッグは、1929〜33年に英ロンドンの宝石商ウォーツキにより取得され、その後、英国の複数のコレクションに収蔵されたが、1975年以降は20年間にわたり所在不明となっていた。

ウィンターエッグは1994年に再発見され、2002年にはニューヨークで再び高額で落札されている。(c)AFP