【12月2日 AFP】サッカー日本代表MF三笘薫選手が所属するイングランド・プレミアリーグのブライトンが、旧日本軍少尉の小野田寛郎さんの画像が使われたボードを手に笑顔を浮かべる三苫選手の写真をソーシャルメディアに投稿したことをめぐり、中国のサッカーファンがブライトンと三苫選手を非難している。

ブライトンのアカデミーは、三笘選手がアカデミーの選手と一緒に、小野田さんの写真を「サッカーカード」のように加工したものを手にした写真を投稿。中国から非難が相次いだことを受け、アカデミーは11月29日、謝罪した。

1日正午、「プレミアリーグのチームが中国ファンに謝罪」というトピックが中国のSNS「微博(ウェイボ)」でトップトレンドとなり、1500万回以上閲覧された。

共産党機関紙、人民日報系のタブロイド紙、環球時報の投稿に寄せられた、最も多くの「いいね!」を獲得したコメントには、「プレミアリーグにはファシストを支持するチームがあるのが現実だ」と記されていた。

また、ブライトンに対し、三笘選手との契約を解除するよう求める声もあった。

別のコメントには、「中国のサッカーファンが彼(三苫選手)を見逃してやらないことを願う。われわれの決意を彼に理解させ、教訓を学ばせなければならない。さもないと、第二第三の三笘薫のような人物が現れかねない」と述べた。

太平洋戦争が終わった後も日本が降伏したことを信じずフィリピンのジャングルに潜んでゲリラ戦を展開し、戦後29年目に生還した小野田さんの写真が、サッカーカードにされた経緯は不明だ。

ブライトンによると、三笘選手がカードを手にした写真は、プレミアリーグのクリスマス休戦トーナメントに先立つイベントで撮影されたものだという。

この大会は、第1次世界大戦中の1914年12月25日に英国軍とドイツ軍が対峙(たいじ)していた西部戦線各地で、一部の兵士同士が自発的に一時休戦し、一緒にサッカーをプレーした出来事にちなんで名付けられた。

プレミアリーグはこの大会について、ユース選手たちが「世界を形作った歴史的出来事への理解」を深める機会と位置付けている。

ブライトンは「中国のファンの気分を害した」ことについて謝罪。

ブライトンのユースアカデミーは11月29日、X(旧ツイッター)への投稿で「私たちは中国のファンを非常に大切にしており、気分を害する意図は全くなかった」と述べた。

ブライトンのメインアカウントもこの声明を転載した。

三笘選手は、本件について公式にコメントしていない。

高市早苗首相が11月7日の衆院予算委員会で、台湾有事をめぐって日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に該当する具体例を問われ、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になりうるケースだと私は考える」と答弁したことに中国は猛反発。日中関係は特に緊張している。(c)AFP