■中国、日本で中国人が被害を受ける犯罪多発と主張

高市氏は7日の衆院予算委員会で、台湾有事をめぐって日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に該当する具体例を問われ、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になりうるケースだと私は考える」と答弁した。

これに対し中国側は猛反発。中国の薛剣駐大阪総領事は8日、X(旧ツイッター)で朝日新聞が投稿した記事「高市首相、台湾有事『存立危機事態になりうる』 認定なら武力行使も」を引用し、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇(ちゅうちょ)もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」と投稿した。現在は削除されている。

高市氏の答弁をめぐり、中国は14日、日本の金杉憲治駐中国大使を呼び出して厳重に抗議したと発表。日本への渡航を控えるよう中国国民に注意喚起した。日本側も中国の呉江浩駐日大使を呼び出し、薛氏の投稿について、「極めて不適切な発信」と強く抗議した。

さらに在日中国大使館は26日、日本で犯罪が急増しており、多くの中国国民から「いわれのない暴言や暴行を受けてけがをした」という報告が寄せられていると主張し、訪日を自粛するよう中国国民に再度勧告した。

これに対し外務省はXで、「最近の中国政府の発表において、あたかも今年に入って中国国籍者に対する犯罪が多発しており、安全に対するリスクが高まっているかのような言及がありますが、そのような指摘は当たりません」と否定。

警察庁の統計を引用して、主たる被疑者の国籍が中国であると判明した事案(中国人同士の事件)を含む被害者の国籍が中国となっている凶悪犯罪(殺人、強盗、放火)の認知件数の推移を示した表を公開した。

これによると、今年1月~10月の殺人の認知件数は2024年の同じ期間と比べて半減したとされる。

中国外務省の郭嘉昆副報道局長は27日の定例会見で、日本に対し高市氏の答弁を公式に撤回するよう改めて要求。

「高市首相の誤った発言を改めて取り上げず、軽視、回避、隠蔽(いんぺい)しようとする日本側の試みは、自己欺瞞(ぎまん)に他ならない」「中国はこれを決して受け入れないだろう」と述べた。(c)AFP