香港大学医学部が胃がん代謝の「暗号」を解読 腫瘍成長を65%抑制
このニュースをシェア
【11月29日 CGTN Japanese】香港大学は25日、同校医学部の研究チームが胃がんの研究で大きな進展を遂げ、人体の消化器系の腸管神経細胞が腫瘍の成長と治療反応に影響を与えることを確認したと発表しました。がん細胞に神経細胞浸潤がある場合、コレステロール抑制剤を投与して治療すれば、がん細胞を消滅させる効果が6.3倍に上がるとのことです。
研究チームは遺伝子編集技術を用いて細胞に含まれる約2万個の遺伝子をスキャンし、最終的に脂肪酸を制御するACACA(アセチルCoAカルボキシラーゼ)とコレステロール代謝メカニズムを制御するLSS(ラノステロール合成酵素)という二つの脂質代謝に関連する重要な因子を特定しました。この二つの因子はがん細胞の「エネルギー工場」のようなもので、がん細胞の増殖を維持する脂質を作りだしています。
マウス実験の結果、抑制剤によってこれらの因子を遮断すると、腫瘍の成長スピードを平均65%抑制できることが分かりました。研究チームは腸管神経細胞と腫瘍の相互作用をシミュレートする研究モデルを開発し、腸管神経細胞と胃がんオルガノイド(患者の腫瘍組織から作製された、実際の臓器に近い3次元構造を持つ「ミニ臓器」)を同じ環境で一緒に培養し、患者のがん細胞が神経細胞の浸透を受ける状況をシミュレートしました。その結果、がん細胞内の脂肪酸代謝レベルが顕著に上昇し、がん細胞の脂質依存性が強まることが分かりました。ここにコレステロール抑制剤を併用すると、がん細胞を死滅させる効率は6.3倍に高まります。
同研究を指導した香港大学医学部の黄兆鱗准教授は、「この発見は胃がんの新薬開発に役立つだけでなく、将来的には腫瘍微小環境の研究にも新たな視点を提供するだろう」と述べました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News