ポーランド、イスラエル大使呼び出し抗議 「ダビデの星の腕章」着用強制めぐる投稿で
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【11月25日 AFP】イスラエルのホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)記念館「ヤド・バシェム」が、第2世界大戦中にユダヤ人に「ダビデの星の腕章」の着用を強制した最初の国はポーランドであるとソーシャルメディアに投稿したのを受け、ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相は24日、イスラエル大使を呼び出して抗議した。
ヤド・バシェムによる23日の投稿は、1939年にダビデの星の腕章着用を義務付ける命令が出された日に合わせたものだったが、当時ポーランドがナチス・ドイツに占領されていたことには触れていなかったことで、シコルスキ外相の怒りを買った。
シコルスキ外相はX(旧ツイッター)に、ポーランド政府からの強い抗議にもかかわらず、「誤解を招くこの投稿は修正されていない」と記し、「イスラエル大使を外務省に召喚することに決めた」としている。
ポーランドではヤド・バシェムの投稿に対する批判が相次いでいる。
ポーランドのドナルド・トゥスク首相は、ヤド・バシェムの投稿は「誤りではなく、意図的な行為かもしれない」とさえ述べた。
ポーランド外務省の報道官も、「ヤド・バシェムは近々ドイツに分館を開設する予定だ」と述べ、意図的な行為だったのではないかとの懸念を表明した。
「この虚偽かつ歴史的に不正確な情報が、それ(ドイツでの分館開設計画)とは一切関係がないことを心から願っている」として、ヤド・バシェムがナチス・ドイツの責任を軽視しようとしていることを示唆した。
アウシュビッツ・ビルケナウ記念館(ナチス・ドイツが占領下のポーランドに設置した強制収容所で、1940~1945年に100万人の欧州系ユダヤ人が殺害された)もXで、「この(ユダヤ人にダビデの星の腕章の着用を義務付ける)反ユダヤ法を導入し、施行したのはドイツだった」と述べた。
これに対し、ヤド・バシェムのダニー・ダヤン館長はXで、「ポーランドは確かにドイツの占領下にあった」「これは私たちの資料に明確に反映されている。その他の解釈は、正確性への当館のコミットメントをミスリードするものだ」と述べた。
「(ナチス・ドイツ)ポーランド総督ハンス・フランクは1939年11月23日、10歳以上のすべてのユダヤ人に対し、右腕に青いダビデの星が描かれた幅10センチの白い腕章を着用するよう義務付ける命令を発した」としている。
「ポーランドの虐殺者」の異名を持つフランクは、ニュルンベルク裁判で死刑判決を受け、1946年に絞首刑に処された。(c)AFP