北朝鮮・金正恩総書記の娘、国際舞台デビュー後に沈黙…2カ月超の「潜行」の意図
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【11月21日 KOREA WAVE】北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の娘が国際舞台に初登場して以来、2カ月以上にわたり公開の場から姿を消している。韓国専門家は、これは単なる登場回避ではなく「後継者としての存在感を再調整する戦略」との見方を示した。
娘は2025年1月、平壌での新年行事にキム総書記と共に出席後、4月末の新型駆逐艦「崔賢(チェ・ヒョン)艦」の進水式までの約3カ月間、長期の「沈黙期間」を取った経緯がある。その後も、9月に中国を訪問して以降、再び姿を見せていない。
北朝鮮メディアに登場した娘の公開活動は、これまでの3年間で40回余りとされるが、今回の「空白期間」は過去最長だ。
◆「外交テスト終了」か後継構図の再編か
特に注目されるのは、中国代表団が出席した国際的イベントに同行した直後に姿を消した点で、「国際舞台テストはいったん終了」との内部判断があった可能性が指摘されている。外部からの過剰な注目や、後継者としての「イメージ過剰消費」を避けるための「存在感の管理段階」に入ったという分析もある。
また、年末の朝鮮労働党中央委員会全員会議や来年初めに予定されている第9回党大会を前に、「キム・ジョンウン一極体制」の原則を再強調する時期と見る向きもある。娘の登場を意図的に控えることで、後継戦略を再構築する準備段階と位置づける見方だ。
◆韓国情報機関「過度な議論回避が目的」
韓国国家情報院(国情院)も国会報告で「外交分野まで活動を広げ、有力な後継者の地位を固めつつある」とした一方で、「中国訪問後の沈黙は、娘が注目されすぎて後継議論が過熱するのを防ぐ目的がある」と分析している。
韓国・慶南大極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「娘は過度な注目を避けるため、一時的に速度を調整している。党大会を前に、必要な資質を強化する段階とみられる」と述べた。
一方、北韓大学院大学のヤン・ムジン特任教授は「彼女が病気なのか、意図的に姿を見せていないのか、あるいは世論を見守るための調整なのか、現時点では判断が難しい」としたうえで、「正式な後継者となるには個人崇拝が伴い、労働新聞に名前が記される必要があるが、現在はその段階にない」と慎重な姿勢を示した。
今後、娘がどの舞台で再登場するかが、北朝鮮体制の将来像を占う重要な指標となるとみられる。軍事イベントであれば「強硬後継」の方向性が、外交や文化イベントであれば「国際的な後継イメージ調整」の兆候と捉えられる可能性がある。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News