【11月26日 東方新報】アラブ首長国連邦(UAE)で開幕されたドバイ航空ショー(Dubai Airshow)の会場で18日、中国のドローン企業・聯合飛機集団(United Aircraft)の無人機「雷影Q20」が実際に出前の配送を行った。

中国メディアの第一財経(Yicai)の取材によると、配送を担当したのは聯合飛機傘下の「雷影Q20」ドローンだ。公式情報によれば、雷影Q20は最大5キロの有効荷重、実用上昇限度は7000メートル、最大水平速度は毎秒23メートル。聯合飛機のスタッフによると、出前配送で使用した機体と専用パッケージは、アラブ首長国連邦(UAE)の高温・高湿環境に合わせて設計され、運搬中の食品が安定した状態を保てるよう工夫されている。

「今回、アブダビのデリバリープラットフォーム『タラバット(Talabat)』や、テック企業『K2 AeroSpace』と協力し、このドローン配送サービスの実証を進めている」。聯合飛機の田剛印(Tian Gangying)董事長は第一財経の取材に対し、常時運行はまだ開始していないものの、同社は今後も中東、特に湾岸地域で無人機の活用シーンを広げ、実運用の状況に応じてシステムや配送プロセスを改善しながら、規制対応や空域許可の取得も進めていくと語った。

「海外へ出なければ、いずれ淘汰される」。

中国の製造サプライチェーンと素早い技術更新力を背景に、中国の低空域(低空経済)関連メーカーはすでに海外市場を強く意識している。

今回のドバイ航空ショーには、別の中国メーカー・容祺智能(Rongqe Intelligence)も参加し、3種類の主力ドローンを展示した。中でも最大300キロの重量物を運べる縦列式二重ローター機「乾坤」が注目を集めた。容祺智能のスタッフによると、韓国、マレーシア、アンゴラ、イタリアなど海外市場をすでに開拓しており、生産注文は来年5月まで予定が埋まっているという。

国内主機メーカーのマーケティング担当者は、中国製電動航空機(eVTOL含む)はコスト面で大きな優位性があると説明する。「欧米メーカーの同型機に比べ、認証取得コストは半分ほどで済む」。さらにサプライチェーンの強さも重なり、中国製eVTOLの価格は海外製の同等モデルより約30%安くなる傾向があるという。

「新興市場で先んじてポジションを取ることが、今後の成長の基礎になる」。

上海御風未来飛行科技(Shanghai FUKUN Technology)の盛亮(Sheng Liang)副総裁は、同社の受注機体がすでに中東などへ輸出されていると明かす。低空経済は長期的な発展が必要な分野で、商業規模が本格化するまで時間はかかるが、早い段階から市場を見据えて製品を最適化することが、業界の持続的な成長を支える鍵だと語った。

しかし、海外進出は決して平坦ではない。複雑な航空規制や認証基準の違いに加えて、前出のメーカー関係者は、海外市場を開拓する上で、中国のドローン企業は現地での運用体制、アフターサービス、データの扱い、さらには政治リスクといった課題にも直面すると指摘する。

「こうした不確実性が、中国のドローン企業に技術の信頼性向上とグローバル運営力の強化を促すことになる」と述べている。(c)東方新報/AFPBB News