【11月23日 東方新報】中国で高品質な大型ゲーム開発が加速する中、複数の投資機関がゲーム制作会社「CreateAI」の北京市・懐柔区にあるモーションキャプチャー施設を訪れ、国内ゲーム制作チームの制作環境や技術力に関心を寄せている。

今回の訪問は、出演者の演技がどのようにデジタルキャラクターへと変換されるのか、その制作工程を可視化することを目的として実施されたもので、高投入ゲームの制作過程を外部が直接確認できる機会として業界から注目を集めた。

モーションキャプチャーエリアでは、ワイヤーアクションや刀を使った立ち回り、多人数による複雑な演技などが収録されていた。1000平方メートルを超えるステージでは武術演技が次々と行われ、130台のVicon VK26光学式カメラが役者の動きを細部まで追跡。演技データはリアルタイムでモニターに反映され、その場でキャラクターの骨格データへと変換されていた。

この規模の収録体制は中国でも珍しく、多役同時演技の処理やリアルタイムのデータ同期などから、工業化された制作パイプラインが作品の品質向上に寄与していることがうかがえる。投資機関の間では、こうした体系的で透明性の高い制作手法が、中国の大型ゲーム制作の工業化レベル向上を象徴しているとの見方が広がっている。

プレイヤーの没入感やリアリティへの需要が高まる中、大型・高投入ゲームは中国ゲーム産業の新たな成長領域になりつつある。

天風証券の試算によれば、PC向けの高投入型ゲームを含む中国の大型ゲーム市場は2026年に169億元(約3690億7572万円)の規模へ拡大する見込みで、同分野の潜在性と投資価値を示している。高度なストーリー演出や精緻なキャラクター表現が求められる中、モーションキャプチャーは作品品質を支える基盤技術として重要度を増している。

業界の高度化に伴い、モーションキャプチャー、バーチャルプロダクション、フェイシャルキャプチャーなどの技術力は、制作チームの総合力を測る重要な指標になっている。

CreateAIの北京モーションキャプチャー施設は総面積2000平方メートル以上で、中心ステージでは十数名の役者が同時に演技できる。大量のVicon光学カメラのほか、映画レベルのフェイシャルキャプチャーシステムや6Kカメラの参考映像も備え、自社開発の制作パイプラインにより、撮影準備から収録、データのクリーニング・精緻化、ゲームエンジンへの導入まで一貫して進められる体制を整えている。

施設責任者の王祎(Wang Yi)氏は「制作期間が長く、難易度の高い大型ゲームでは、企画から最終出力までを一体化する方式が効率を高め、コミュニケーションコストの削減にもつながります。特に、重要データの安全確保は最優先事項です」と述べている。

今回注目が集まったのは、CreateAIが制作中の武侠オープンワールドゲーム『金庸群侠伝』だ。同作は香港の作家・金庸(Jin Yong)の代表作すべてについて正式にライセンスを取得した唯一のタイトルで、動作表現の多くを武術俳優の実演に依存している。モーションキャプチャー技術を用いることで、動きの細部やリズムを丁寧に再現し、武侠世界に息づく独特の身体表現と文化的特質を描くことを目指している。

文化を題材としたデジタルコンテンツが国の文化的発信力を示す重要な手段となる中、制作体制や技術力の向上によって、中国のゲームスタジオは伝統文化をより高品質に表現できるようになり、東方的な叙事美学を持つ作品は国際市場で存在感を高めつつある。

大型ゲームへの投資関心が高まる中、制作能力、組織体制、透明性は、制作チームの潜在力を測る重要な指標となっている。業界関係者は、中国ゲーム産業が「コンテンツ主導」から「制作能力主導」の段階へ移行しつつあり、制作基盤の成熟が作品の品質と国際競争力を左右すると指摘する。

CreateAIは来年初めに『金庸群侠伝』の主要な開発進展を公表する予定で、モーションキャプチャーやバーチャルプロダクション、制作パイプラインへの投資を継続し、高品質ゲームの長期的な発展を目指すとしている。(c)東方新報/AFPBB News