【11月24日  People’s Daily】大型産業用ドローン、完全埋込式ブレイン・マシン・インターフェース・マイクロシステム、高所溶接ロボットなど、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)錦江区の「春熙路広場」で開催された「『首発春熙』錦江経済技術開発区・高成長企業科技製品初披露イベント」では、40以上の先端科学技術の成果が集中的に展示され、市民や観光客が足を止め、「科学技術の魅力」を「間近に」体感した。

近年、「初披露経済」は都市の経済発展を促進する重要なエンジンとなっている。2019年以降、四川成都には国内外の「初めての店舗」が4000以上出店し、6年連続で増加を続けている。成都市内の主要な商業地区では、相次ぐ新製品発表イベントで客足がピークに達し、初出店の店先はSNSに投稿する人たちでにぎわっている。初出品を観賞したり、初公開を楽しんだり、「初披露を追う」ことが消費の新しい潮流となっている。

超高解像度の巨大スクリーンには、やはり巨大なマッコウクジラがゆっくりと泳ぎ、魚の群れがその周りを泳ぎ回るシーンが映し出された。「成都東郊記憶園区」の「浪美術館」で、今年6月から「BBC Earth・極地の命あるもの・デジタル映像大展」が開催された。これは英国放送協会(BBC)の自然ドキュメンタリー部門「BBC Earth」が行った成都での「初展示」だった。「スクリーンに映る動物たちは生き生きと動き回り、植物の成長は至近距離で見ることができた。デジタル映像展の体験は新鮮で衝撃的だった」、来場した市民・王(Wang)さんは感嘆の声を漏らした。

新しい体験こそが「ファーストリリース(初披露)経済」の吸引力の重要な源泉である。「浪美術館」の責任者・陳昱(Chen Yu)氏は「5000平方メートルにおよぶ没入型デジタル展示ホールで、超高解像度デジタル映像、没入型サウンドフィールド、VRインタラクティブ体験、環境アロマなどの多次元感覚技術を駆使して、ドキュメンタリーの内容を全く新しい形態で表現している」と説明する。

赤レンガの工場建屋、縦横にのびる配管・・・「東郊記憶園区」は、以前の国営工場「紅光電子管(真空管)廠」を改装して誕生した。ここは産業遺跡の建築様式を保存しつつ、ファッション、アート、トレンド要素が融合した場所となっている。現在、ここには80以上の初出店の店舗が入居しており、音楽ライブ、デジタル文化創造、「国潮(中国スタイル)ファッション」など多様な業態が集合し、成都の「初披露経済」を代表するネームプレート的存在の一つとなっている。

宙に浮かぶ小熊と花の宇宙船の装飾、デザイン性豊かな各種商品・・・・春熙路商業街では、「ドーパミンカラー」で装飾された「Wiggle Wiggle(ウィグルウィグル)」の成都店を、多くの客が訪れ、記念撮影や買い物を楽しんでいる。この韓国発の有名なライフスタイルIPブランド店は、昨年9月にオープンし、中国西部地区における「初出店」となった。成都は国際消費中心都市の建設に力を入れており、社会消費財小売総額が年間1兆元(約21兆5500億円)を突破する市場規模を持ち、活発な商業エコシステムが「初披露経済」に広大な市場空間を提供している。また持続的で強力な行政政策が、さらに発展の活力を喚起している。

「Wiggle Wiggle」成都店の劉建学(Liu Jianxue)店長は「現地視察と交渉から内装・開店まで、成都で初出店が落ち着くのに5か月もかからなかった」と話す。「初出店」の装飾は普通の出店とは異なり、シーン設計による識別性の向上が求められ、特に外観の装飾は非常に複雑だという。劉店長は「地元政府が各方面で調整をしてくれたおかげで、工事の円滑な進行が確保できた。営業許可証の取得にあたっては、錦江区商務局が『グリーンチャネル(優先窓口)』を開設し、書類提出から許可証取得までわずか2時間しかかからなかった」と強調する。

関係者によれば、成都は「初披露プロジェクト」に対して「グリーンチャネル」による認可審査プロセスの最適化だけでなく、ブランドの「初出店」「新店舗開設」「新製品発表」などの時に遭遇する様々な難題の解決に力を入れ、企業の「初披露活動」の実現効率を高め、スピードを加速している。

「スマート帽子」をかぶると、傍らのコンピューター画面に波状のラインが表示され、被験者の脳波情報が示される。錦江区にあるバイオ技術などの研究開発と応用サービスに携わる企業「成都市前沿類脳人工知能イノベーションセンター」では、自閉症の児童の診療とリハビリテーション用に設計された複数の「ブレイン・マシン・インターフェース装置」のテストが行われていた。同社の馮睿(Feng Rui)主任は「わが社は、脳波バイオマーカー技術に基づく自閉症補助診断システムなどを開発し、すでに2つの製品が錦江区で初公開されている」と話す。初公開の後、国内の30以上の医療機関から製品導入の要望が届いているという。

成都では「初出店」や「初公開」などの活動のうち30%以上が錦江区に集中している。推計によると、今年上半期の「初披露経済」は、錦江区の消費を前年同期比6.8%押し上げ、その効果を明らかにした。初公開、初出店、新業態、新モデルから、新サービス、新技術まで、「初披露経済」は絶えず進化を続けている。成都の電子情報、バイオ医薬などの産業クラスターの発展は、新たに登場した製品や技術の育成に確固たる基盤を提供している。成都は27年末までに、各種の「初出店の店舗」の累計数を6500店、ハイレベルな初公開・初展示など「初披露活動」を1000回以上、「初披露経済」のランドマークとなる施設100か所を実現し、「新消費ブランド」を500社育成する計画だ。

「成都は『トレンド文化の発信地、ファッショナブルな生活の先導地、先端技術インキュベーション拠点、スマート製造の先駆地』の建設を先導役として、『初披露経済』促進システムを整備し、継続的に消費のポテンシャルを掘り起こし、市場の活力を喚起していく」、成都市商務局の責任者はこのように述べている。(c)People’s Daily /AFPBB News