「奶皮子飴」が中国で大ブーム 行列・品薄が続く理由とは
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【11月17日 東方新報】奶皮子糖葫芦(奶皮子入りフルーツ飴)が、北京市・上海市・南京市(Nanjing)など中国各地で爆発的な人気を集めている。南京の店には百メートル近い行列ができ、代行購入者が整理券を求めて並ぶほどの盛況ぶりだ。北京にあるスーパーマーケットの「盒馬鮮生(Hema Xiansheng)」では販売開始から10日余りで売上ランキング1位となり、ストロベリーやマスカットを使った商品が1本20~35元(約436〜763円)台と高価格帯にもかかわらず、1日数千本が売れている。SNSでは「3時間待ち」「整理券200番台」といった投稿が相次ぎ、上海では「1本98元(約2137円)」の店まで登場しトレンド入りした。
この人気を支えるのが、「奶皮子」という食材だ。奶皮子は、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)や中国西北地域で食べられてきた伝統的な乳製品で、牛乳を煮詰めて表面にできた「乳の膜」を乾燥させたもの。甘い香りと濃厚なミルク味が特徴で、地元ではヨーグルトに混ぜたり、家庭料理の具材として日常的に使われている。2024年に「奶皮子ヨーグルト」が全国的にヒットしたことで一躍知られる存在となり、今回の奶皮子飴ブームへとつながった。
需要急増により、産地・内モンゴル自治区の工場では生産が追いつかない状態が続く。あるメーカーでは、これまで昼過ぎには終えていた作業を「三交代制(24時間稼働)」に切り替えても追いつかず、「1日1万枚生産しても足りないほど」と担当者は語る。方形と円形の2種があり、飴に使われるのは主に方形タイプだが、こちらは予約待ち1週間という工場も出ている。
専門家によれば、ヒットの背景には「伝統食材×SNS映え」という現代的な要素があるという。濃厚なミルクの風味と飴がけフルーツの鮮やかな見た目が「写真映え」し、若い世代の「懐かしいのに新しい」という感覚に響いた。また、ブドウやイチジクなど「高見え素材」をのせることで単価も上昇し、話題性と収益性を同時に高めている。
さらに、奶皮子そのものも「脂肪分が高くてコクのある系統」の流行素材として、ヨーグルト、コーヒー、ケーキなど多くの商品に応用され、強い存在感を持つようになった。奶皮子飴は、こうした素材の人気を最大限に生かした「成功IP(知的財産)の横展開」といえる。
一方で、急速なブームの裏では同質化競争の懸念も指摘される。専門家は「製法が比較的シンプルで参入障壁が低いため、小規模店が一気に増えやすい。継続的な商品開発や品質管理がなければ、すぐに飽和する」と警鐘を鳴らす。最近では、固体化した「楊枝甘露(マンゴーとグレープフルーツ、タピオカを使った香港発祥の人気デザート)」など、新たな乳製品デザートも次々登場しており、市場はしばらく活況が続く見通しだ。
奶皮子飴の大ヒットは、単なる一時的な流行ではなく、中国の若い消費者の「新しさ」「映え」「話題性」への志向を象徴する現象でもある。伝統素材の再発見と、SNS世代の感性が合わさったことで生まれたこのブームが、今後どこまで定着するか注目される。(c)東方新報/AFPBB News