【11月14日 AFP】ウクライナのオレクサンドル・シェルバ駐南アフリカ大使は、AFPとのインタビューで、南ア人男性17人がだまされてロシアの傭兵(ようへい)部隊に入隊させられたとの認識を示し、南ア国民に対しロシアの侵攻に参加しないよう強く求めた。

南ア政府は先週、ロシアとの激戦が続くウクライナ東部のドンバス地域(ルハンスク、ドネツク両州)で身動きが取れなくなった20~39歳の南ア人男性17人から帰国支援を求める救難通報を受けたと発表した。

大統領府は、17人が「高収入が得られるなど甘い言葉で、ウクライナ・ロシア紛争に参戦する傭兵部隊に誘い込まれた」と述べたが、どちらの側で戦っているかは明らかにしなかった。

だが、南アメディア「ニュース24」とウクライナ政府は、17人がロシア側で戦っていると主張した。

ウクライナのアンドリー・シビハ外相は先週、ロシア兵の中にアフリカ36か国の市民少なくとも1436人が確認されたと述べた。

シェルバ大使は。「ロシアが南アの法律に違反してその国民をこの戦争(ウクライナ紛争)に引きずり込んだり誘い込んだりしている状況が、南ア社会にとって目を見張らせるような出来事となることを願う」と述べた。

南ア国民が同国政府の許可なく外国の軍隊に加入するのは違法だ。

シェルバ大使は、「このニュースが報じられて以来、前線に誘い込まれた若者たちの家族からメールが届いている。彼らは必死だった」「皆さんの両親や姉妹に、同じ思いをさせないでほしい」と付け加えた。

ニュース24によって、ジェイコブ・ズマ前大統領率いる政党「民族の槍(MK)」が南ア人男性をロシアに派遣して治安維持訓練を受けさせていると報じられたことを受け、シリル・ラマポーザ大統領は、南ア人男性の傭兵採用に関する調査を命じた。

ズマ前大統領はロシアと親密な関係にあることで知られている。

シェルバ大使は、南アの政治家が関与していることが判明した場合、「全体的な状況がさらに不安定になる」と述べた。

「南ア国民に今伝えたいメッセージは、どうかだまされないで、この野蛮で不当ないわれのない戦争に参加しないでほしいということだ」「これは皆さんの戦争ではない。この地球上のまともな人間の戦争でもない」と付け加えた。

さらに、17人は「アフリカとは全く関係のない戦争にだまされて参加させられた。これは植民地化戦争であり、アフリカ人が自由な国を植民地化する戦争に参加しているのなんて狂気の極みだ」と述べた。(c)AFP