パンダチョコや財神像 輸入博で際立つ中国文化モチーフ
このニュースをシェア
【11月14日 東方新報】第8回中国国際輸入博覧会(輸入博、CIIE)の展示ブースは、単なる商品の陳列場ではない。そこは、世界の企業が中国市場をどう理解しようとしているのかを映す鏡のような場所だ。今回、多くの海外企業が共通して選んだテーマは、中国の伝統文化だった。
第8回CIIEで、フランスの老舗コニャックブランド「ヘネシー(Hennessy)」のブースでは、印象的な深紅の装飾がひときわ目を引いた。かつては「フランス産オーク樽の熟成物語」を語ってきた同社だが、今回は「フランスの匠の技を中国文化の豊かな土壌に根付かせたい」と宣言した。2018年以降、ヘネシーは中国のアーティストと協力し、中国の伝統文化をテーマにした春節限定ボトルを毎年発表している。今回の博覧会では、世界で50本限定の新しい干支シリーズが初登場した。その第一弾となる「午年(うまどし)」モデルには、午年に蒸留された希少な原酒が使われており、単なるマーケティングではなく文化への敬意を示す作品となっている。
すぐ近くのスイスのチョコレートブランド「リンツ&シュプルングリー(Lindt & Spruengli)」のブースでは、白黒のパンダ型チョコレートが来場者の注目を集めていた。これは中国市場向けに特別に開発された商品で、中国とスイスの国交樹立75周年を記念して発売されたものだ。ブランド担当者は「このチョコレートを通じて文化の架け橋を築きたい」と語る。その意図は明確で、感情的なつながりを重視する中国の消費者にとって、パンダほど心を掴む存在はない。
レゴ(Lego)のブースでは、カラフルなブロックで「遊びの都市」が再現されていた。しかし注目すべきはその数字だ。2018年の初出展以来、レゴは29種類の新製品を発表しており、そのうち3分の2が中国の文化、伝統行事、風習から着想を得ている。今年の新作には、中国画風の馬をテーマにした「駿馬鴻図」や、ボタンを押すと「パチパチ」と音が鳴る爆竹セット「迎財爆竹」、表情を変えられる「財神像」などが登場した。レゴ中国のマシエク・セリンスキ(Maciek Selinski)総経理は「これらの製品は中国の消費者に人気なだけでなく、世界中の子どもや家庭にも中国文化の魅力を伝えている」と語った。こうした取り組みは、中国文化をグローバルな創造言語で再構築するビジネスの知恵といえる。
さらに、アロマオイルブランドのドテラ(doTERRA)は今回、ヨモギ精油を世界初公開した。昨年3万本を売り上げた高麗人参精油に続く新製品だ。家具大手イケア(IKEA)は午年をモチーフにした春節(旧正月、Lunar New Year)限定シリーズを発表し、トレジャリー・ワイン・エステーツ(Treasury Wine Estates)は「ペンフォールズ」ブランドで午年限定ギフトボックスを披露した。これらの動きはいずれも、外資系企業の競争が単なる価格や流通網の勝負から、「文化理解」と「共感の創出」へと進化していることを示している。
ドテラ中国のオーウェン・メシック(Owen Messick)社長は「昨年発売した高麗人参精油は発売初月で3万本を売り上げた。この反応が私たちの本地化(ローカルイノベーション)への自信につながった」と話す。
業界関係者は、この文化志向の背景には中国市場の構造的な変化があると指摘する。新世代の中国人消費者は文化的自信を強め、世界共通の商品を受け入れるだけでなく、自分たちの文化を理解し、尊重してくれるブランドを求めている。
こうした変化を、グローバル企業も敏感に捉えている。「中国要素」の使い方は、表面的な模倣から深い文化理解へ、短期的な祝祭商戦から長期的なブランド戦略へ、単なる迎合から文化共創へと進化している。
輸入博の会場に並ぶレゴの財神像、リンツのパンダチョコ、ドテラのヨモギ精油——それぞれが語っているのは同じメッセージだ。いまの中国市場で最も有効な「パスポート」とは、中国文化への真摯な理解と、それを創造的に表現する力にほかならない。(c)東方新報/AFPBB News