【11月13日 CNS】今日の世界では、市場こそが最も希少な資源であり、超大規模な国内市場こそが中国の強みだ。この強みをいかに十分に発揮し、さらに拡大していくか。その鍵となるのが、「全国統一大市場(ナショナル・ユニファイド・マーケット)」の構築である。

この全国統一市場の深化推進という大規模な取り組みを理解するには、国家戦略と民生(国民生活)、政府と市場、中央と地方という三つの視点から、その内在的な論理と進め方を考える必要がある。

まず、統一市場は国家戦略と民生福祉の「統一」である。全国統一市場の構築は国家レベルの重要な戦略であり、外部リスクへの対応力を高め、国際競争における主導権を握る上で欠かせない。より広い範囲で資源を効率的に配分し、規模の経済と集積効果を最大限に発揮させることこそ、中国の市場を「大きい」から「強い」へと変えていく重要な一手となる。

統一市場は戦略であると同時に、私たち一人ひとりの生活にも密接に関わる。たとえば、若者が別の都市で就職する際、戸籍登録(戸口)手続きに奔走する必要がなくなる。農村から出てきた高齢の両親が都市で診療を受けても、医療費を他地域で精算できる。企業が新たな市場に進出する際も、地方保護や不公平な扱いを心配する必要がなくなる。つまり、全国統一市場は、人・モノ・資金・情報の流れをより円滑にし、経済循環の「血流」をスムーズにするものだ。それは経済主体の活力を支える基盤であり、中国の国際競争力の源泉でもある。

次に、統一市場は「有効な市場」と「有能な政府」の統一でもある。全国統一市場の建設を深く進めるうえで求められるのは、「五つの統一と一つの開放」だ。これは、効率的な市場メカニズムの整備と、政府による的確な支援・監督の両面を意味する。

市場の側面では、まず基本制度と基盤インフラの整備が必要だ。統一された基本制度により、平等な財産権保護が実現し、企業家は安心して挑戦できる。公平な競争環境のもとで、国有企業と民間企業、地元企業と外資系企業、中小企業と大企業が同じ舞台で公正に競い合える。統一されたインフラ整備が進めば、鉄道から船舶への輸送転換なども円滑になり、物流がよりスムーズになる。

政府の側面では、統一された「行動の基準」が求められる。投資誘致の際にはルールを明確にし、できることとできないことの線引きをして、過度な競争(いわゆる「内巻」=過剰な消耗戦)を防ぐ必要がある。また、市場監督も全国で統一し、行政罰の基準を一本化して、過剰な徴収や罰金、重複検査、恣意的な営業停止などの問題を是正することが重要だ。さらに、生産要素(労働・資金・土地など)の自由な流動と効率的な配分を実現し、資源の偏在や浪費を減らすとともに、国内外への開放を拡大し、閉鎖的な運営を避けることが求められる。いわば、「見えざる手」と「見える手」の相乗効果によって、より質が高く、効率的で、公平で、持続可能かつ安全な発展を実現していく。

最後に、統一市場は「中央による統一的な方針」と「地方の自発的な参画」の統一でもある。中央と地方の関係をどう調整するかは、全国統一市場の成否を分ける鍵だ。「統一」を掲げる以上、党中央の集中統一的なリーダーシップの下で全国を一体として動かすことが不可欠である。そうしてこそ、大市場のスケールメリットを最大限に発揮できる。

これまで中央は、「西気東輸(西部の天然ガスを東部へ)」「西電東送(西部の発電を東部へ送電)」「南水北調(南部の水資源を北部へ引水)」「北煤南運(北部の石炭を南部へ輸送)」「東数西算(東部のデータ処理を西部のデータセンターで行う)」など、大規模な資源再配置プロジェクトを実施し、地域間の資源・生産・消費の不均衡を効果的に是正してきた。しかし同時に、地方の主体性と創造性も無視できない。地方の発展を国家全体の大きな戦略の中に位置づけ、地方保護主義や市場分断という旧弊を打破しつつ、地方の経済活力を守ることが重要だ。ポイントは、地方が「政策の優遇競争」から「改革と制度革新による競争」へと移行するよう導くことである。

全国統一市場の建設がさらに深化すれば、企業は国民の需要に応じて、より多くの高品質な製品とサービスを提供できるようになる。これにより、国内市場の潜在力と活力が一層引き出され、中国経済はより強い自信と安定した基盤を持つことになるだろう。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News