外国人犯罪者はエルサルバドル送り「順法国民の人権守る」 チリ大統領選の極右候補
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【11月7日 AFP】南米チリ大統領選の極右候補、ヨハネス・カイザー氏(49)は6日、AFPのインタビューに応じ、犯罪者に対する致死的殺傷力の行使を擁護し、犯罪歴のある移民(在留外国人)を中米エルサルバドルに追放し、悪名高い巨大刑務所「テロリスト拘禁センター(CECOT)」に収容する考えを示した。
カイザー氏は、犯罪と移民に対して不満を抱く有権者に寄り添い支持を伸ばしている。
11月16日の第1回投票に向けた選挙戦の終盤、カイザー氏は優勢に立つ2人の有力候補、中道左派連合を代表するチリ共産党のジャネット・ハラ氏と、自身と同じ極右候補のホセ・アントニオ・カスト氏を追い上げている。
カスト氏は、カイザー氏ほど過激ではないと見られている。
カイザー氏は政界入りする前、フェミニストや移民、軍事独裁を敷いた故アウグスト・ピノチェト元大統領を批判する「反ピノチェト派」を激しく批判するユーチューバーとして知られていた。
選挙運動用のバスの車内で行われたAFPのインタビューで、カイザー氏は自身の目標について、「法を順守する国民」の人権を守ることであり、「加害者が撃たれるのを防ぐこと」ではないと説明。
「夜に路上強盗に遭ったり、背後から刺されたり、自宅で妻がレイプされたり、学校で娘が性的暴行を加えられたりするのを防ぐことこそが、人権を守ることだ」と訴えた。
ベネズエラやペルーなどを起源とするギャングが侵入し勢力を拡大したことで、秩序を重んじるチリ国民の間で恐怖が広がり、右傾化が進んでいる。
チリは依然として中南米で最も安全な国の一つだが、殺人事件の発生率と拉致・誘拐の件数は過去10年間で倍増した。
カイザー氏はさらに、ドナルド・トランプ米大統領に倣い、「チリで犯罪歴のある不法移民」をエルサルバドルに追放し、CECOTに収容したいと述べた。
エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は今年、トランプ氏と協定を結び、米国を追放されたベネズエラ人252人をCECOTに収容した。
252人の中には、CECOTで4か月間拷問を受けた後に釈放され、米国との交換協定によりベネズエラに帰国したと主張する者もいる。(c)AFP