2025年10月29日、ソウル・光化門広場で開かれた「10・29梨泰院(イテウォン)惨事」3周年追悼式で嗚咽する遺族(c)news1
2025年10月29日、ソウル・光化門広場で開かれた「10・29梨泰院(イテウォン)惨事」3周年追悼式で嗚咽する遺族(c)news1

【11月05日 KOREA WAVE】2022年10月のソウル・梨泰院雑踏事故から3年。亡き子を思う命日にも、遺族たちは心ない「2次加害」のコメントにさらされ続けている。

2025年10月25日からハロウィン当日である31日まで、遺族協議会と市民対策会議は複数のメディアに対し「梨泰院惨事に関連する報道のコメント欄を一時閉鎖してほしい」と要請した。犠牲者と遺族に対する悪質コメント、いわゆる「2次加害」が予想されたからだ。

これを受け、news1編集部も遺族の意向を尊重し、事件に関連する記事のコメント欄を7日間閉じる方針を決定した。記事のタイトルに「コメント欄×」と明記し、記者らも徹底を図った。

しかし、10月29日に配信された記事の一つで、誤ってコメント欄を閉じ忘れてしまうミスが起きた。わずか30分ほどの間に、50件以上の侮辱的・嘲笑的な書き込みが投稿された。たとえば「子どもを利用して金儲けしてる」などといった表現が見られた。

子どもを天に見送った命日に、なぜこんな言葉を浴びせられなければならないのか。この体験は、2次加害の深刻さを改めて痛感させるものだった。

遺族への2次加害は、ネットユーザーだけでなく、公職者からもなされてきた。昌原市のキム・ミナ市議(保守系野党「国民の力」所属)は、SNS上で遺族を嘲笑するような文章を投稿し、名誉毀損で懲役3カ月・執行猶予の判決を受けた。

犠牲者を悼み、遺族に共感するという本来「当然であるべき」感情が、いまだ社会に根付いていない。「共感や哀悼は“学ぶべき感情”であり、国家など責任ある機関が率先して態度を示すことが重要だ」。梨泰院惨事特別調査委員会のパク・ジン事務局長はこう指摘する。

実際、今年の追悼式には、初めて政府が遺族と共同で主催する形が取られた。大統領の追悼メッセージが届けられ、国会議長、与野党代表も出席。これは形式だけでなく、国が惨事に対する責任を認め、遺族とともに哀悼するという象徴的な一歩でもあった。

さらに政府は、合同行政監査を通じて「大統領室の龍山移転が惨事の発生や初動対応に影響を与えた」と公式に認めた。

つまり、事故は「被害者が遊びに行ったから」起きたのではなく、「本来保障されるべき安全が、国家によって提供されなかった結果だった」という立場を明確にしたのだ。

とはいえ、根本的な課題である2次加害の防止と処罰については、いまだ制度的な不備が残る。警察庁は2025年7月、19人規模の「2次加害犯罪捜査チーム」を新設したが、遺族の側から「被害者自身が証拠を収集しなければ捜査が進まないのはつらすぎる」という声があがっている。

また、起訴されても名誉毀損罪や侮辱罪など、軽い処罰(罰金刑や執行猶予)で済まされるのが実情で、実効性に欠けるとの批判も多い。

こうした中、2次加害を直接取り締まる内容を盛り込んだ「梨泰院惨事特別法」改正案が国会に提出されており、与党「共に民主党」は10月29日、速やかに成立させると公約した。

この法案は、単なる名誉毀損ではなく、「惨事被害者に対する加害行為」として処罰可能な法的根拠を確立するものであり、惨事を巡る社会的責任のあり方を根本から問い直す契機となることが期待されている。【news1 シン・ユナ記者】

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