【11月2日 AFP】オーストラリアで先月、観光クルーズ船の乗客が沖合の島に取り残され、翌日に死亡しているのが発見された。この事故を受けて、クルーズ船の運航会社は1日、ツアーの中止を発表した。

死亡していたのはスザンヌ・リースさん(80)。先月25日、クルーズ船「コーラル・アドベンチャー」号でグレートバリアリーフのリザード島に上陸し、他の乗客と共に展望スポットへのハイキングを楽しんでいた。公共放送ABCによると、リースさんは途中で体調の不調を訴え、船に戻るために一人で来た道を引き返したという。

しかし、クルーズ船はその夕方、リースさんを乗せずに島を出発。数時間後、船に乗っていないことに気づき島に戻ったが、リースさんは翌日、遺体で発見された。

運航会社コーラル・エクスペディションズのマーク・フィフィールド最高経営責任者(CEO)は1日、リースさんの死亡事故と船の機械的な問題を理由にツアーを中止したとABCに述べた。

同氏は「高品質な体験」を提供することを誇りにしているが、「先週の状況を踏まえると、この約束を果たすことは困難だと判断した」と述べ、乗客に全額返金すると説明した。

リースさんの娘キャサリンさんは、「健康的で活動的」なハイカーだった母親を島に残したまま船が出発したことに「ショックを受け、悲しんでいる」と記者団に語り、「(会社側の)限られた説明を聞く限り、配慮と常識に欠けていたように思える」と同社を批判した。

クイーンズランド州警察は先週、リースさんの死について「事件性はない」と発表している。

ツアーは、最大120人を収容できるクルーズ船で、オーストラリアを60日かけて周遊する内容だった。(c)AFP