【11月1日 AFP】国連は10月31日、ウクライナ前線での市民生活は生存をかけた戦いとなっており、エネルギーインフラへの攻撃が大規模な冬の危機を引き起こす恐れがあると警告した。

国連のウクライナ人道調整官マティアス・シュマーレ氏は、2022年2月にロシアが全面侵攻を開始してから4度目の冬が近づく中、市民がますます戦争の影響を受けていると指摘した。

シュマーレ氏はジュネーブで記者会見し、今年は2024年よりも民間人にとって致命的な年であり、死傷者が30%増加したと述べた。

特に、2025年に記録された民間人の死傷者の3分の1は無人機攻撃によるものだったとし、「技術的な戦争、無人機戦争になっている」と指摘した。

前線地域への攻撃が増加したため、5万7000人以上が避難のための援助を求めており、前線近くの市場は機能不全が進み、戦争の恐怖や攻撃に加えて基本的な物資へのアクセスが限られているため、「生存をかけた戦いに拍車が掛かっている」との見方を示した。

■エネルギー攻撃

シュマーレ氏は、前線都市で再び冬を迎える準備をしている人々に懸念を示し、ロシアの民間インフラへの攻撃により、高層ビルに閉じ込められ、水や電気が遮断される可能性があると警告した。

「冬の訪れに合わせてエネルギー生産と供給能力を破壊することは、明らかに民間人に影響を与える一種のテロ行為だ」とシュマーレ氏は述べた。

国連の冬季対応計画は、170万人以上に暖房や現金援助を提供し、寒い季節を乗り切ることを目指しているが、資金は50%しか確保されていない。

■長期化する戦争

ドナルド・トランプ米大統領の戦争終結への努力は進展を見せず、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は複数の停戦要請を拒否している。

シュマーレ氏は、「残念ながら、劇的に、長期戦に突入している」と語り、ウクライナは「少なくとも1世代、場合によっては数世代にわたって精神的影響に対処しなければならないだろう」との懸念を示した。(c)AFP/Robin MILLARD