スマートカー産業、規制強化で安全重視へ
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【11月4日 東方新報】中国では、生産段階から販売後のリコール対応までを対象に、スマートコネクティッドカー産業を包括的に管理する新しい規制体系が整いつつある。「事前の参入管理」「運用中の監督」「事後の追跡と責任追及」という全工程を網羅した仕組みで、技術革新に「安全の境界線」を引く狙いがある。
世界の自動車産業は今、「電動化」と「スマート化」が急速に融合しており、スマートコネクティッドカーは各国が主導権を争う重要分野となっている。中国は強固なサプライチェーンと技術開発力を背景に、これまでの「追随者」から「並走者」、そして「先行者」へと飛躍を遂げた。2024年1月から7月までの間に、運転支援機能を備えた新型車の販売台数は775万台を超え、前年同期比21%増、市場浸透率は62%を超えた。規模・技術ともに世界の最前線に立っている。
しかし、急成長の陰では課題も見えてきた。運転支援機能を「自動運転」と誤解させる宣伝、OTA(Over The Air)の不適切な運用、そして生産基準との乖離などが安全事故を招き、業界の信頼を損ねている。こうした問題を受け、国家市場監督管理総局と工業情報化部は「スマートコネクティッド新エネルギー自動車のリコール、生産管理、宣伝規範化の強化に関する通知(意見募集稿)」を発表した。
◾️宣伝、OTA、生産管理の「三大リスク」を是正へ
この文書は、業界が直面する三つの核心的なリスク――誇大宣伝、無秩序なOTA、そして生産管理の不備――に焦点を当てている。特に宣伝面では、運転支援システムを「自動運転」と誤認させる表現が横行しており、消費者を危険にさらしている。2024年3月に安徽省(Anhui)で起きた重大事故では、メーカーの宣伝を過信したドライバーが運転支援機能に過度に依存し、悲劇を招いた。
新規制では、運転支援機能を自動運転と誤解させる表現を禁止し、アプリ画面や取扱説明書に注意事項を明記することを義務づける。また、ドライバーがハンドルを離す、目を閉じるなどの異常を検知した際には、音声警告やハンドル振動、速度制限などで注意を促し、安全を確保することを求めている。
OTAアップデートについても、三つの「赤線」が設定された。事前の届け出なしでの実施、未検証ソフトの配布、欠陥の隠蔽をすべて禁止している。過去には、メーカーがユーザーの同意なくバッテリーの出力を制限するなどの事例もあり、今回の規制はそうした不透明な運用に歯止めをかける狙いがある。
さらに、生産段階の一致性(品質の一貫性)も厳しく問われる。承認内容と異なる仕様で生産された車種が見つかるなど、製造管理の不備が指摘されている。専門家は「品質管理の欠如はブランドの信用を失墜させるだけでなく、安全性そのものを揺るがす」と警告している。
◾️技術革新と安全の両立へ――制度面からの再構築
同時に公表された「企業審査要求」と「製品審査要求」は、産業構造を根本から立て直す取り組みでもある。「企業審査要求」では、スマート化・コネクティッド化に関する参入基準を引き上げ、サイバーセキュリティやデータ管理、運転支援・自動運転の能力などを新たに審査項目に加えた。さらに、グループ企業全体での管理体制を整備し、優良企業がより大きく発展できる環境をつくることを目指している。
一方、「製品審査要求」では、出荷段階での「安全基準線」を明確にし、信頼性試験を初めて審査体系に組み込んだ。これにより、「基準は満たしているが信頼性に欠ける」製品の流通を防ぐ狙いがある。また、審査基準をより具体的にし、現場での実行を明確化することで、曖昧な運用を減らす工夫も加えられている。
さらに、制度設計では新技術の発展余地を残す「柔軟かつ慎重な原則」が貫かれており、自動運転や路車協調などの新分野で革新の妨げにならないよう配慮している。
◾️「安全の中での革新」へ
専門家たちは、今回の一連の政策を「業界の混乱を正し、長期的な健全成長を促す強心剤」と評価している。過度な宣伝を排除し、企業の責任意識と透明性を高めることで、消費者の信頼を回復し、技術革新を安心して進められる環境を整えることができる。
中国自動車流通協会乗用車市場情報聯席分会(乗聯分会)の崔東樹(Cui Dongshu)氏は、「短期的には企業に一定の負担が生じるが、長期的にはアルゴリズムの最適化や技術成熟を促し、結果的に産業全体の質を高める」と述べる。
これらの制度が実施されれば、中国のスマートコネクティッドカー産業は「野放図な拡張期」を脱し、「安全を前提とした秩序ある革新」の新たな段階へ進むことになるだろう。(c)東方新報/AFPBB News