【10月30日 AFP】フランス議会上院は29日、レイプを「同意のない性行為」と定義する法案を可決した。上院が長期にわたる立法手続きの最終投票で法案を可決したのを受け、刑法のレイプの罪の定義に同意の原則が盛り込まれることになる。

​​中道派のベロニク・リオトン議員は、共同提案したこの法案が先週下院を通過した後、この条文は「レイプの文化から同意の文化への移行」を示していると述べた。

条文によれば、同意は「自由かつ十分な情報に基づいた、具体的で、撤回可能な」もので「事前に」得なければならず、状況に応じて評価されるが、「沈黙や無反応」から推測することはできないとされる。

「暴力、強制、脅迫、不意打ちによって性行為が行われた場合、いかなる性質であれ、同意は存在しない」とも規定されている。

人権団体は今回の改革を歓迎する一方で、社会全体のより深い変革が伴わなければならないと強調している。

アムネスティ・インターナショナル・フランスのアドボカシー担当者、ローラ・シュルマン氏は「他の欧州諸国に続く歴史的な前進だ」「しかし、これはほんの一歩にすぎない。ジェンダーに基づく暴力や性暴力の不処罰をなくすには、まだ長い道のりがあることを私たちは認識しているからだ」とAFPに語った。

女性権利団体CIDFFは、この改革に合わせて性教育の改善、法曹や警察官への研修、支援団体への資金援助の増額を実施するよう求めた。

同意に基づかない性行為をレイプとする法律は、ドイツ、オランダ、スペイン、スウェーデンなどで​​すでに存在している。

■「真のイエス」

この法案は、ジゼル・ペリコさんの事件を受けて、同意に基づく性行為をめぐる議論が再燃した後に提出された。

ドミニク・ペリコ受刑者は当時妻だったジゼルさんの意識を鎮静剤で失わせ、自らレイプしたり、インターネットで募った見知らぬ男数十人にレイプさせたりしていた。ドミニク受刑者は拘禁20年の判決を受け、現在服役している。

下院では極右議員だけが反対。同意の定義変更を「主観的で、流動的で、理解しにくい」と批判した。

国民連合のソフィー・ブラン議員は以前、定義変更により「加害者の暴力ではなく」被害者の行為に焦点が当てられることになると述べていた。

だが、賛成派は、同意があったことの立証責任が加害者に移ることになると主張している。

法案の共同提案者である緑の党のマリーシャルロット・ガラン議員は下院で可決された後、「ノーではないからといって、イエスとはならない」「イエスとなるには、真のイエスでなければならない。屈服はもはや同意とはならない」と彼女は述べた。(c)AFP