【10月31日 CNS】中国政府が新たな景気対策に踏み出した。総額5000億元(約10兆7147億円)規模の「新型政策型金融ツール」が正式に始動し、経済の下支えを図る。

国家発展改革委員会(発改委)は9月29日の記者会見で、「党中央と国務院の方針に基づき、実体経済を支援し、有効投資を拡大するために新しい政策型金融ツールを導入する」と発表した。今回の資金はすべて各種プロジェクトの資本金を補う目的で活用される。

この制度は、4月25日に開かれた中国共産党中央政治局会議で決定された方針に沿ったものだ。会議では、科学技術イノベーションの推進や消費拡大、輸出の安定を支えるため、構造的な金融支援策として新たなツールを設ける方針が示されていた。

では、この5000億元はどんな効果をもたらすのか。

鍵となるのは「プロジェクト資本金の補填」という点だ。資本金は事業の「点火スイッチ」のようなもので、これがあることでプロジェクトが動き出し、経済全体に新しい活力を生む。

多くの地方政府にとって、最大の課題は資金不足、特に初期投資にあたる資本金の欠如だ。ある地方幹部は「今の地域発展で最も困っているのは資本金が足りないことだ」と明かしている。

プロジェクトを始動させるにはまず資本金が必要で、これがなければ銀行からの融資も受けられない。この5000億元はまさにその「最初の壁」を取り払う資金であり、低コストで地方の負担を軽くする効果がある。

発改委は今後、関係機関と協力して資金を具体的な事業に投じ、各地に対して着工を加速させるよう促す方針を示した。建設の進展を早めることで、実際の工事量を増やし、有効投資を拡大して経済を安定成長へ導く狙いだ。

注目されるのは、その「てこ効果」だ。民間の試算では、この5000億元によって最大5兆元規模の投資が誘発される可能性があるという。

短期的には投資を刺激して景気を支え、長期的には科学技術や消費の高度化を促して経済の質を高める。つまり、この制度は「当面の課題解決」と「将来の成長基盤づくり」の両方を兼ね備えている。

すでに各地では資金を受けるプロジェクトの準備が進んでおり、建設機械の音が響き始めるころには、この5000億元の効果が本格的に現れるだろう。それは単なる金額ではなく、経済を安定して前に進めるための支えになる。

会見ではこのほかにも、発改委が今後も状況に応じてマクロ政策を適切に強化し、経済動向を常時監視しながら必要な対策を迅速に打ち出す方針を示した。

「各種政策の効果が十分に発揮されれば、経済の安定成長を維持し、年間目標を確実に達成できると確信している」
という発言は、市場に安心感を与える「メッセージ」でもある。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News