【10月29日 AFP】英議会報告書は27日、同国は「欠陥のある契約」と不適切な宿泊施設のせいで、難民認定申請者の収容に「数十億ドルを浪費」したと指摘した。

先週末のニュースでは、誤って釈放された性的暴行の罪などで有罪判決を受けた難民認定申請者の捜索が目立ったが、この痛烈な報告書は、キア・スターマー首相に移民問題への対応を迫るさらなる圧力となっている。

エチオピア出身のハダシュ・ゲブレセラシェ・ケバトゥ受刑者は先月、14歳の少女と成人女性に対する性的暴行の罪で拘禁1年の判決を受け、服役していた。この事件は英国各地の難民認定申請者を収容するホテル前での抗議デモの引き金となった。ケバトゥ受刑者は誤って釈放されたが、26日に拘束された。

内務省は、難民認定申請の決定を待つ移民の滞在先としてホテルと契約している。

英政府の費用負担でホテルに長期滞在する難民認定申請者の数は急増。2018年末には4万7500人だったのが2025年6月には10万3000人と倍以上に増え、英国民の怒りが高まっている。

内務委員会は報告書で、2019年から2029年にかけて難民認定申請者の滞在施設にかかる費用が45億ポンド(約9100億円)から153億ポンド(約3兆1000億円)へと3倍以上に増加する見通しだと指摘。

難民認定申請者の一時滞在目的でのホテル利用は、前保守党政権時代の2023年をピークに減少しているが、内務省は依然としてこの高額な選択肢に「大きく依存」している。

内務省の統計によると、現在3万2000人以上の移民がホテルに滞在している。

内務委員会は、「ホテルは難民認定申請者の収容における一時的な対応策から頼みの綱へと変貌を遂げ、高額な費用がかかり、地域社会に不評で難民認定申請者にも不向きな、破綻したシステムに成り下がった」と述べた。

複数の地域社会が、ホテルが観光客の宿泊施設ではなく難民認定申請者の一時滞在施設として利用されていること、それに伴う治安の問題について懸念を表明している。

移民権利擁護団体は、難民認定申請者の収容を請け負ったホテルが適切な衛生基準を満たしておらず、狭苦しい部屋を提供して利益を上げていると批判している。

報告書も、内務省が「ホテルが提供するサービスが常に必要な基準を満たしていることを保証できていない」と指摘している。

スターマー氏率いる労働党政権は、難民認定申請の膨大な未処理案件の削減を目指しつつ、2029年までに難民認定申請者によるホテル利用を廃止すると約束している。

エッピングのベルホテルに滞在していたケバトゥ受刑者は、誤って釈放された後、26日にロンドンの公園で発見され、拘束された。当局はケバトゥ受刑者について、今週中に国外追放すると述べている。

デービッド・ラミー法相は27日の議会で、ケバトゥ受刑者の誤釈放は「人為的なミス」と見られるが、独立した調査を開始すると発表した。

「説明責任を果たす」と約束し、今回の出来事に「激怒している」して、ケバトゥ受刑者を「可能な限り速やかに」エチオピアに強制送還すると付け加えた。

ラミー法相によると、このような誤釈放は増加傾向にあり、2023年は月平均9件だったが、2024年1月~6月は月平均17件に増加した。(c)AFP