【10月29日 東方新報】中国各地でこの秋から「春休み・秋休み」制度の試験導入が始まり、小中学校に新しい休暇の形が広がりつつある。多くの地域では秋休みが3日間に設定され、週末を合わせて5連休となるため、旅行需要が急増している。旅行会社には秋休み関連の問い合わせが相次ぎ、航空券の予約は前年比で2倍以上に増加した。

浙江省(Zhejiang)金華市(Jinhua)の旅行代理店「百事通」賓虹路店の責任者・陳吟(Chen Yin)さんは「秋休みが発表された直後から問い合わせが殺到しました。SNSで広告を出すとすぐに反応がありました」と話す。

浙江省では寧波市(Ningbo)、湖州市(Huzhou)、嘉興市(Jiaxing)、台州市(Taizhou)などの都市で11月12日から14日に秋休みを設定し、週末を加えて5連休とする。広東省(Guangdong)の仏山市(Foshan)も同様の期間を予定している。衢州市(Quzhou)は11月19日から21日、金華市は21日から25日に設定され、いずれも週末を含めた5日間の連休となる。

休暇の発表を受け、旅行業界も動きを加速させた。広東省広州市(Guangzhou)の大手旅行会社・広之旅国際旅行社は10月15日、「教科書と一緒に旅に出よう」をテーマにした秋休み研修ツアーを発表。広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)桂林市(Guilin)、北京市、陝西省(Shaanxi)西安市(Xi'an)、四川省(Sichuan)などを巡る約20のコースを打ち出した。浙江省内の旅行会社も秋休みの日程に合わせ、既存の国内ツアーの内容を見直している。

嘉興市の旅行会社スタッフ・張妍(Zhang Yan)さんは「秋休みに合わせて観光地のルートを少し調整しました」と話す。陳吟さんも「もともと団体旅行用に確保していた航空券を親子向けツアーに切り替え、体験型の企画を増やしました」と説明する。航空券の需要は急増し、「発表から3日で西安行きを予約しましたが、義烏(Yiwu)発の北京便と西安便はすぐに満席になりました」と語る。

旅行予約サイトによると、11月12日〜16日出発のフライト予約数は前年のほぼ2倍。北京市、四川省成都市(Chengdu)、上海市、西安市などが人気で、寧波発は2.18倍、仏山発は2.76倍に増加。特に北京行きは1.9倍に上った。

旅行会社によれば、人気の行き先は北京と西安。歴史や文化を体験できる「学び旅」が好まれているという。陳さんは「夏のような猛暑もなく、人も少ないので秋は旅行に最適です」と語る。広之旅国際旅行社の「教科書と一緒に旅をする」というテーマの教育旅行シリーズでは、教科書に登場する桂林や兵馬俑(へいばよう)、黄山(Huangshan)、福建土楼などを訪れ、子どもたちが「本の中の中国」を実際に体験できるよう工夫されている。価格は999元〜5399元(約2万1159〜11万4356円)と幅広い。

ただし、実際には5日間すべてを使うよりも、3〜4日間の短期ツアーが人気だ。「帰宅後に1日休める」「宿題をやる時間を確保したい」といった理由から、2〜3日の近距離旅行を選ぶ家庭も多いという。

政府もこうした動きを後押ししている。9月、中国商務部など9部門が共同で発表した「サービス消費拡大に関する措置」では、授業日数を変えずに休暇を分散させる「春秋休み」制度の導入を奨励。浙江省ではすでに全11都市が導入を発表し、中国で初めて省全体で実施されることとなった。杭州市(Hangzhou)では2004年からすでに試験導入が行われている。

観光業界では「春秋休みの導入は、旅行の集中を緩和し、閑散期の需要を喚起する」と期待の声が上がる。11月は旅行オフシーズンで、航空券やホテル代が大型連休期より3割以上安く、人出も少ない。紅葉が見ごろの地域も多く、短距離から長距離までさまざまな旅行スタイルが楽しめる季節だ。

ある旅行業者は「親子旅行が新しい需要を生み出しています。子ども1人の予約が1〜2人の大人の同行を促すことも多く、家族旅行全体の動きを活性化させています」と語る。

広之旅国際旅行社の担当者も「春秋休みの制度化は国内観光市場に新しい活力を与えます。教育と観光がより深く結びつくことで、学びと体験を兼ね備えた親子旅行や研修ツアーの需要は今後ますます高まるでしょう」と話した。(c)東方新報/AFPBB News