絶滅危惧種アムールヒョウ、仏で初の人工授精 種の存続に希望
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【10月22日 AFP】フランスでこのほど、世界で最も個体数の少ない大型ネコ科動物であるアムールヒョウの人工授精が実施された。世界初の試み。
アムールヒョウは、ロシアと中国の国境付近を流れるアムール川(シベリア地方)流域に主に生息しており、野生個体はわずか数十頭しか残されていないとみられている。
今月、ドイツ国境近くのミュルーズ動物園で15歳の雌の個体への人工授精手術が行われ、飼育下での繁殖プログラムによって種の保存につながる可能性が期待されている。
「これは世界初の試みだ」と、ミュルーズ動物・植物園の園長であり、アムールヒョウの欧州繁殖プログラムのコーディネーターを務める獣医師ブノワ・クインタール氏は語った。
精液は14歳の雄の個体から採取された。雌では排卵が確認されたものの、子宮に嚢胞(のうほう)が見つかった。このことから受精卵が着床できないおそれがあり、獣医師は妊娠の可能性を「50%程度」としている。
アムールヒョウは国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種の「CR(近絶滅種)」に指定されている。
個体数の減少に伴い、生き残ったヒョウ同士の交配相手が限られることで、近親交配のリスクが高まっている。今回選ばれた2頭は、遺伝的構成が十分に異なると判断されたという。
飼育下にいる約250頭のアムールヒョウは、野生の個体よりも「はるかに多様な遺伝的構成」を持っており、種の存続にとって重要だとクインタール氏は説明した。(c)AFP/Patrick Baert with Li Haomin in Beijing