韓国サムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長(c)news1
韓国サムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長(c)news1

【10月20日 KOREA WAVE】米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)が、最新の人工知能(AI)アクセラレーター「GB300」に、韓国の大手電子企業「サムスン電子」の第5世代高帯域幅メモリー「HBM3E」を搭載することを決定した。サムスン電子が幾度もの試験を経てエヌビディアの供給網に再び参入したことで、世界のHBM市場に大きな変化が生じるとみられる。

エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は最近、サムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長に書簡を送り、GB300システムにサムスンのHBM3E 12段製品を採用する意向を伝えたという。ファンCEOが自ら品質検査(クオリフィケーションテスト)通過を通知し、発注の意思を示した形だ。両社は現在、供給量や価格、納期などの最終調整に入っている。

サムスン電子がエヌビディアの供給網に復帰するのは約1年7カ月ぶりだ。2024年3月に米国で開かれた半導体カンファレンス「GTC 2024」で、ファンCEOがサムスンのHBM3E製品に「Jensen Approved(ジェンスン承認)」とサインしたことが話題となった。しかしその後、サムスンは品質・発熱などの技術課題でたびたび苦戦し、2025年1月のCESでファンCEOが「HBM設計をやり直す必要がある」と発言するなど、関係悪化も指摘されていた。

その後、イ・ジェヨン会長の「徹底した再挑戦」指示のもと、サムスンは上半期に再設計したサンプルを提出し、ようやく採用にこぎつけた。主流製品が次世代HBM4へ移行する時期であるため、GB300向けHBM3Eの出荷量自体は限定的と見られるが、技術的課題を克服し、再び市場信頼を得た意義は大きい。現在進行中のHBM4の品質検査も前倒しで通過する可能性があるという。

業界では「イ・ジェヨン会長の営業外交が実を結んだ」との評価が出ている。イ・ジェヨン会長は2025年8月、最高裁での無罪確定後すぐに米国へ渡り、主要企業経営者らと会談を重ねた。この際、ファンCEOとも直接会談したとされる。帰国時には「来年の事業準備をしてきた」と語っていた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News