【10月20日 CNS】休日になると、600年以上の歴史を持つ故宮(紫禁城、Forbidden City)には、たくさんの子どもたちが訪れる。彼らは探偵や魔法使い、小さな皇帝になりきって、紫禁城に隠された秘密を探しに出かける。近年、中国では体験型の学びが盛んになり、故宮は小中学生に人気の学習スポットとなっている。「小さな皇帝の一日」「神獣ハンター」「魔法の故宮キャンプ」など、さまざまなプログラムが子どもたちに新しい故宮の楽しみ方を提供している。

体験学習とは、実際に現地を訪れたり調査したりしながら、教科書の知識を現実と結びつけて学ぶ方法を指す。北京市でこうした活動を企画している教育関係者の黄秋子(Huang Qiuzi)氏は「体験学習は、知識と子どもの興味を結ぶ『橋渡し』のようなものです。楽しみながら歴史や考古学、自然科学に関心を持てるのが魅力です」と話す。

故宮は、かつて中国の皇帝24人が暮らした宮殿で、70を超える建物が並ぶ。1925年に博物館として開かれてから今年で100年を迎えた。歴史、建築、考古学を学ぶうえで、まさに「生きた教材」といえる。壮麗な殿堂や楼閣から、指輪やボタンのような小物まで、すべてが学びの題材になる。

なかでも人気なのが、「神獣探し」のプログラムだ。故宮には、中国神話に登場する伝説の生き物をモチーフにした装飾が多く、インターネット上では約40種類の「神獣リスト」が共有されている。学習チームはその中から、屋根の上の飾り(脊獣)や竜の形をした排水口(螭首)、門を守る怪獣(椒図)などを「故宮を守る十大神獣」として紹介。子どもたちは探偵のように城内を歩き回り、神獣を探し出す。講師がそれぞれの神獣の由来や物語を説明すると、子どもたちは中国の伝統文化への興味を深めていく。

神獣探しの中でも、太和殿(たいわでん)は欠かせない見どころだ。講師は屋根の脊獣を「屋根のボディーガード」と表現する。紫禁城で最も大きな建物である太和殿の屋根には10体の脊獣が並ぶが、他の建物は9体までしかない。10体目の神獣「行什(こうじゅう)」は雷神の化身とされ、落雷を防ぐ意味があるという。SNSでは、「うちの子が『故宮の屋根には雷さまがいるんだよ!』と嬉しそうに話していた」という投稿も見られた。雨どいの先端にある龍の顔「螭首」、皇帝の権威を象徴する銅の獅子、「中国版ユニコーン」とも呼ばれる獬豸(かいち)なども、人気の神獣だ。

神獣探し以外にも、建築や美術をテーマにした講座がある。今年の夏休み期間、故宮博物院(The Palace Museum)では「屋根の下の色彩」という授業が開かれ、多くの子どもたちが参加した。故宮にはおよそ9000の部屋があり、その梁や柱を彩る装飾絵画は見どころの一つだ。青緑の花模様、金色の龍、鮮やかな幾何学模様など、色使いは実に多彩だ。中国の伝統色を研究する学者によれば、中国には384種類の伝統色があり、その多くが故宮の建物や文物に使われているという。黄秋子氏は「故宮は、中国の伝統色を学ぶ『生きた教室』でもあります」と語る。

600年以上の歴史を持ち、京都御所の約6倍半の広さを誇る故宮には、まだまだ多くの学びの扉がある。世界最大規模の木造建築群として、建築学の観点から学ぶこともできる。また、数え切れないほどの収蔵品や、そこで起きた歴史的な出来事も、学びの素材として尽きることがない。

かつてはガイドの説明を聞きながら歩くのが一般的だったが、今では子どもたちが自らの興味に沿って発見するスタイルへと変化している。体験型の学びの広がりによって、故宮はより多様な「学びの舞台」となり、子どもたちに歴史や科学、そして東洋の美を自ら探究する機会を与えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News