夫が妻に薬盛り数十人にレイプさせた事件、唯一控訴した男に拘禁10年 仏
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【10月10日 AFP】ドミニク・ペリコ受刑者(72)が見知らぬ男数十人を募って当時妻だったジゼル・ペリコさん(72)をレイプさせた事件の控訴審で、フランスの裁判所は9日、一審で有罪判決を受けた51人のうち唯一控訴した男に対し、レイプの罪で、一審の拘禁9年より重い拘禁10年の判決を言い渡した。
フランス史上最悪の性犯罪者の一人、ドミニク受刑者は10年以上にわたり、ジゼルさんの意識を鎮静剤で失わせ、自ら性的暴行を加えたり、インターネットで募った男たちに性的虐待させたりしていた。2024年12月に結審した一審では、ドミニク受刑者を含む51人の男が有罪判決を受けた。ドミニク受刑者は最高刑の拘禁20年を言い渡されたが控訴していない。
ジゼルさんは性暴力への意識を高めるために匿名の権利を放棄し、裁判を通して威厳を保ち毅然(きぜん)とした態度を貫いたことで、フェミニストの英雄となり、男性による性暴力と闘う女性たちの象徴となった。ジゼルさんは、性暴力において恥じるべきは被害者ではなく加害者だと主張している。
フサメティン・ドガン被告(44)だけが一審判決を不服として控訴。自分もドミニク被告の被害者だとして無実を主張していた。
クリスチャン・パスタ裁判長は、「裁判所と陪審は、フサメティン・ドガン被告に禁錮10年と5年間の強制治療を言い渡す」と述べた。
被告席のドガン被告は、判決に反応を示さなかった。
ジゼルさんは、割れんばかりの拍手の中、笑顔で法廷を後にした。傍聴席からは「ブラボー」「ありがとう」と歓声が上がった。
ドガン被告はジゼルさんをレイプするつもりは一切なかったとして、2019年6月28日の行為については、ドミニク受刑者に「はめられて」奔放なカップルのプレイに参加していると思い込まされていたと主張していた。
だが、ジゼルさんは8日、南部ニームの法廷でドガン被告の主張をきっぱりと否定。
「あなたは断じてペリコ氏の被害者ではない。自分の行動に責任を持ちなさい。あなたを恥ずかしく思います!」「唯一の被害者は私です」と述べた。
検事は9日、ドガン被告に拘禁12年を求刑。
「罪を認めるのを拒む限り、それは1人の女性だけの問題ではない。あなたが支持しているのは卑劣な社会システム全体だ」「あなたと社会のために、レイプ文化から合意に基づく文化への進化が必要だ」と述べた。
ドミニク受刑者とドガン被告を除く49人の男たちは全員が拘禁刑を言い渡されたが、刑期は軽いもので性的暴行で起訴された年金受給者に言い渡された拘禁3年(うち執行猶予2年)から、重いものはジゼルさんを6回レイプした男に言い渡された拘禁15年までさまざまだった。
ジゼルさんを暴行しなかったものの、ドミニク受刑者の協力を得て自身の妻を繰り返し虐待させた男は、拘禁12年の判決を受けた。
ジゼルさんは8日、「被害者は彼らに(レイプ犯に)強制されたことを決して恥じてはならない」と訴えた。(c)AFP