米連邦大陪審、ニューヨーク州司法長官を起訴 トランプ氏の「政敵」
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【10月10日 AFP】米ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官(66、民主党)が9日、銀行詐欺と金融機関に対する虚偽の陳述の罪で、バージニア州アレクサンドリアの大陪審によって起訴された。ドナルド・トランプ大統領(共和党)の「政敵」が起訴されるのは、ここ数週間で2人目。
同じくトランプ氏の「政敵」とされる連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー元長官も議会に対する偽証罪と手続きを妨害した罪で起訴されており、8日に法廷で無罪を主張したばかり。
ジェームズ氏とコミー氏の起訴は、前任のエリック・シーバート元連邦検事が2人を訴追するには証拠不十分と報告した後辞任したのを受け、トランプ氏に任命されたリンジー・ハリガン連邦検事によって訴追された。
ジェームズ氏に対する訴訟は、同氏が2020年にバージニア州ノーフォークで購入した不動産について、好条件で融資を得るために虚偽の陳述をしたとされるもの。
ジェームズ氏は声明で、起訴には「根拠がない」と否定し、「自暴自棄になった大統領による司法の武器化の延長にすぎない」「大統領自身の公の発言からも、政治的報復だけが目的であることは明らかだ」と述べた。
トランプ氏は最近公の場で、パム・ボンディ司法長官に対し、ジェームズ氏、コミー氏ら「政敵」に対し、行動を起こすよう促した。
ジェームズ氏は2021年、トランプ氏とその一族企業が不法に不動産価値を不当に高く評価し、銀行から好条件で融資を得たとして、トランプ氏を相手取り不当利得4億6400万ドル(約708億円)の返還を求める訴訟を起こした。
ニューヨーク州の裁判所はトランプ氏に4億6400万ドルの支払いを命じたが、その後、控訴審は不正の認定を支持する一方、支払い命令を破棄した。
トランプ氏はジェームズ氏とコミー氏に加え、自身を公然と批判してきたカリフォルニア州選出のアダム・シフ上院議員(民主党)、ジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の起訴も公に呼び掛けている。
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事ら、民主党の著名な政治家たちはジェームズ氏を擁護した。
ホークル氏はX(旧ツイッター)で、「私たちが今目にしているものは、権力者の責任を追及する人々を罰するための司法省の武器化に他ならない」と述べた。
民主党の上院トップ、チャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州選出)は、「これが専制政治の姿だ」「トランプ大統領は司法省を私兵のように利用し、自身を詐欺で提訴し勝訴したという『罪』でレティシア・ジェームズ司法長官を標的にしようとしている」と述べた。(c)AFP