中国・重慶の居住区にあるデジタル食堂
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【10月9日 People’s Daily】「ご近所のみなさん、ランチの時間ですよ!」、このようなお知らせがメッセージアプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」に届くと、重慶市(Chongqing)江北区観音橋街道明珠居住区の住民たちは、三々五々コミュニティ食堂に集まり、列に並んで食事を始めた。
「12種類も料理があって、種類が豊富で栄養バランスも取れている」、今年85歳の張礼周(Zhang Lizhou)さんは、この食堂の常連客だ。2023年にオープンしたこのコミュニティ食堂には特別な身分がある。ここは、重慶で初めての「デジタルコミュニティ食堂」なのだ。
入店し、顔認証し、食事を受け取り、リアルタイムで決済する、張さんはこのデジタル食堂のシステムを非常に手慣れた様子で使いこなしている。「とても便利だ。入店時に顔認証さえすれば、後は何もする必要がない。毎回少しずつ料理を取るたびに、何グラムで、いくらなのかがリアルタイムで表示される。ほら、今取った『梅菜豚バラ肉』は22グラムで2.07元(約42円)だよ」、張さんは記者にこう語りかけた。
デジタル食堂は、高齢者にも受け入れやすいものだろうか?
店長の唐文君(Tang Wenjun)さんは「初回食事時に本人登録と預け金をチャージすれば、それ以降の食事は、非接触決済で、会計のために列に並ぶ必要もない」と説明する。スマートフォン操作が苦手な高齢者には、スタッフが本人登録や配膳のサポートも手伝ってくれるという。
実は、ここの「デジタルパスワード」はトレイのバーコードに隠されている。入店時に顔認証でトレイを受け取る時点で、トレイは顧客と紐付けられる。一品一品に価格が表示され、価格がリアルタイム表示され、顧客は料理を取る時に、随時その料理の価格とグラム数を確認できる。料理を取り終えたら、オンラインでチャージ済みのデポジットから直接引き落とされる仕組みだ
数年前に張さんの妻は他界し、子どもたちも遠くに住んでおり、彼は今一人暮らしだ。毎日どう食事をするかは、子供たちが最も気にかけていることだった。以前はわざわざ時間制の家政婦を雇って料理を作ってもらっていたが、今は直接食堂で食事ができるので、とても便利になった。
デジタル化は食事のとり方だけに留まらない。食事が終わってすぐに、スマートフォンにその食事の「栄養分析」が届く。カロリー、タンパク質摂取量、食物繊維摂取量など、一食ごとの栄養素がはっきりと分かる。今年62歳の龐盛華(Pang Shenghua)さんは「これは我々のような年齢層にはとても重要だ。何を食べたかを把握して、自分の身体を大切にできる」と話す。
デジタル食堂の背景には、飲食サービス・インターネット食品販売など食品分野を幅広く手掛ける「重慶瀚童飲食文化」の技術サポートがある。同社の責任者・羅暁歓(Luo Xiaohuan)氏は「中国栄養学会が22年に発表した『中国居民膳食指南(中国住民食事ガイドライン)』に基づき、我々は専用のデジタル管理システムを1セット開発した」と紹介した。このシステムは単純な注文ソフトではなく、栄養学、ビッグデータ分析、サプライチェーン管理を統合した「スマートプラットフォーム」だという。
「システム内には2000以上の料理メニューのデータベースが組み込まれ、それぞれの料理には、詳細な栄養成分、適した対象者、組み合わせの提案が標記されている。調理チームはもはや個人の経験だけでメニューを決めるのではなく、システムが推薦する栄養バランスに基づいた組み合わせで、毎食均整の取れた食事選択が提供できるようになった」、羅氏はこう説明する。
重慶では同社が、すでに5か所でこのような食堂を運営している。デジタル化がもたらした変革は料理の選択だけにとどまらない。仕込みの段階で、システムが過去のデータに基づいて食事人数や料理の偏好を予測し、的確な仕入れ計画と調理計画を生成している。
「今では、ビッグデータ分析があるおかげで、顧客のプロファイリングから内部管理まで、食堂は精密なマッチングができるようになった。今後、このシステムを持続的にアップグレードし、個人向け栄養アドバイスサービスを導入する予定だ。会員システムを通じて個人の飲食嗜好(しこう)と健康ニーズを記録し、慢性疾患を持つ患者向けにカスタマイズされた食事指導を提供し、まさに『大鍋飯(画一的な食事)』から『個人向け栄養指導』へのアップグレードの実現を目指している」、羅氏は今後の計画をこのように説明する。
今では「明珠居住区食堂」は単なる住民が食事をする場所にとどまらず、より多くの住民が食堂を通じてつながりを持つ、住民交流の新しいプラットフォームの役割果たすようになっている。
毎日、食事時間前から、居住区に住む李(Li)おばあさんは食堂にやって来て、近所の人たちとおしゃべりをする。「以前は居住区に食堂がなく、ただ家で自炊するしかなくて、お隣さんたちのこともよく知らなかった。今は、特に食堂に来るのがとても楽しみだ。便利で美味しい上に、みんなとおしゃべりもできるからね」、李さんはこの食堂が大変気に入っている。
取材によると、重慶市江北区は、企業、居住区、住民などが多角的に参画するサービス体制を積極的に構築し、多様な「食堂+X」モデルの模索を模索している。食堂に高齢者教室、住民ステージ、コミュニティ育成スペースといった機能を付与し、温かく居心地の良い「優しい空間」を創り出している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews