新潮の二次元カルチャーで蘇る中国の「オールドモール」
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【9月26日 CNS】上海大悦城、南京水游城、北京西単商場、北京王府井喜悦、杭州in88――かつては多くの客でにぎわいながらも、近年は閉店の危機にあった中国各地の大型商業施設が、コスプレイベントやアニメ谷子(グッズ)、ガチャ、JK制服の販売などを取り入れ、「二次元」カルチャーによって再び注目を集めている。
近年、スーパーや大型ショッピングセンター、倉庫型店舗など多様な業態が拡大し、中国の消費構造は高度化した。その一方で、従来型の商業施設は業態が単調で、経営モデルや商品構成、サービス体験における弱点が次第に明らかになっていた。
こうした競争の中で、中国の商業施設は次々と「二次元」に活路を見いだしている。データによれば、2024年の中国における広義の二次元ユーザーは5億300万人に達し、ネット利用者全体のほぼ半数を占める。アニメグッズ市場規模は1689億元(約3兆5192億円)に達し、2029年には3000億元(約6兆2508億円)を突破すると予測されている。成長期にある二次元文化が、多くの商業施設に転換のチャンスを与えている。
現在、中国各地の商業施設は「二次元」を核とした事業展開に力を入れている。中国でいち早く二次元IP(知的財産権)と商業施設の融合を進めた上海静安大悦城は、多数のIPコラボイベントを実施し、若者から「スーパーIP発信地」と呼ばれるようになった。2024年には56件の国際的に人気の高いIPとのコラボイベントを開催し、売上は1億6400万元(約3億4195万円)を突破。二次元関連ブランドとIPイベントを合わせた年間総売上は約3億5000万元(約7億2900万円)に達し、過去最高を記録した。
経営難に陥っていた南京市の「水游城」は、2023年の改装で約7000平方メートルの二次元専用エリアを新設。南京市(Nanjing)初となる漫魂COMIC SOULやBilibili Goods、猫受屋など有力ブランドを誘致した。入居した42店舗のうち8割が南京初出店または唯一の店舗であったことから、「南京二次元の聖地」「南京の谷子消費スポット」としてSNSで話題を集め、大きな注目を浴びた。小紅書(Red)では関連投稿が高い人気を得て、「谷子購入」をテーマにした探訪動画で頻繁に取り上げられ、若者への訴求力を強めている。
二次元化によって再生した商業施設が人気を維持できる要因は、「没入感」と「独自性」にある。
北京市・王府井にある「喜悦商場」では、地下2階を二次元街区として整備。多彩なIPグッズの販売に加え、各種イベントを展開し、濃厚な没入体験を提供して二次元ファンを引きつけている。
同施設は「XY次元マルシェ」や「国産アニメ・カーニバル」などのテーマイベントを年間を通じて開催し、二次元文化のコミュニティ拠点づくりを進めている。以前に行われた「ちいかわ」と、中国発の雑貨チェーン「名創優品(メイソウ、MINISO)」によるコラボポップアップストアは39日間限定の「萌え経済」として消費熱を巻き起こし、単日売上は120万元(約2500万3320円)を超え、累計売上は2610万元(約5億2382万円)を記録。15万人以上を動員し、施設全体の来客数も前年比40%増加した。
現在も王府井喜悦では毎週「ランダムダンス」イベントを行い、交流・共有・集いの場を兼ね備えた二次元文化空間の形成を目指している。
また、広州市(Guangzhou)の北京路にある「動漫星城」も全面リニューアルを実施し、「毎月イベント、常にサプライズ」を掲げてグッズフェスやランダムダンス大会、カードゲーム大会などを継続的に開催している。いずれも盛況で、2024年の平均稼働率は99.7%、来場者数は前年比20%増、売上も着実に拡大している。(c)CNS/JCM/AFPBB News